演習問題1
f(α)=0より、f=∑0≤i≤deg(f) fixi (fi∈F)とすると∑i fiαi=0。
この両辺をαdeg(f)で割れば、0=∑i fi(1/α)deg(f)-i=∑j fdeg(f)-j(1/α)j。
したがって、1/αはg=∑j fdeg(f)-j xj∈F[x]の根だから、
1/αはF上代数的である。
演習問題2
fはgを割るのである0でないu∈F[x]が存在してg=uf。
またgはfを割るのである0でないu v∈F[x]が存在してf=vg。
故にf= uvfとなるからuv=1となりu,vは単数。
f,gは共に単多項式だから、u=v=1でなければならないのでf=g。
演習問題3
求値写像φ: F[x1,...,xn]→F[α1,...,αn]⊂L (f(x1,...,xn)→f(α1,...,αn))
は環準同型なので単位元を保ち、任意のf,g∈F[x1,...,xn]に対し
φ(f)+φ(g)=φ(f+g)∈F[α1,...,αn], φ(f)φ(g)=φ(fg)∈F[α1,...,αn]だから、
F[α1,...,αn]はLの部分環となる。
有理関数体F(α1,...,αn)については求値写像
φ: F(x1,...,xn)→F(α1,...,αn)⊂L (f(x1,...,xn)→f(α1,...,αn))
を考えれば和と積については同様で、
さらにf≠0について1=φ(1)=φ(ff-1)=φ(f)φ(f-1)だから、
φ(f)≠0に対し乗法の逆元φ(f-1)∈F(α1,...,αn)を常に取ることが出来る。
したがってF(α1,...,αn)はLの部分体。
演習問題4
補題4.1.9によりF(α1,...,αr)は、
Fとα1,...,αrを含むLの最小の部分体である。
F(α1,...,αn)はFとα1,...,αrを含む体だから、F(α1,...,αr) ⊂F(α1,...,αn)。
補題4.1.9により、F(α1,...,αr)(αr+1,...,αn)は、
F(α1,...,αr)とαr+1,...,αnを含むLの最小の部分体である。
F(α1,...,αr) ⊂F(α1,...,αn)よりF(α1,...,αn)は
F(α1,...,αr)とαr+1,...,αnを含む体だから、
F(α1,...,αr)(αr+1,...,αn)⊂F(α1,...,αn)。
演習問題5
任意のf∈F[α1,...,αn-1][αn]は、αnを用いた
F[α1,...,αn-1]係数多項式表示だから、f∈F[α1,...,αn]となり、
F[α1,...,αn-1][αn]⊂F[α1,...,αn]。
また、任意のg∈F[α1,...,αn]の多項式表示を、
αnについての冪の和として表示すれば、
gはαnを用いたF[α1,...,αn-1]係数多項式表示となるから、
g∈F[α1,...,αn-1][αn]よりF[α1,...,αn]⊂F[α1,...,αn-1][αn]。
したがってF[α1,...,αn-1][αn]=F[α1,...,αn]。
演習問題6
求値写像φ:F[x1,...,xn]→F[α1,...,αn]⊂L (f(x1,...,xn)→f(α1,...,αn))
を考える。φは環準同型で明らかに全射。
f∈F[x1,...,xn]に対し、f(α1,...,αn)=0が成り立ったとすると、
f∈Ker(φ)である。ところが、α1,...,αnは代数的独立だから、
α1,...,αnについて成り立つ自明でない多項式関係は存在しないので、
f=0でなければならない。すなわちKer(φ)={0}だから、
φは単射となりしたがって同型写像である。
故にF[α1,...,αn]≃F[x1,...,xn]。
F(α1,...,αn)={r=α/β|α,β∈F[α1,...,αn]}だから、
求値写像ψ:F(x1,...,xn)→F(α1,...,αn)⊂L (r(x1,...,xn)→r(α1,...,αn))
は環準同型で明らかに全射。
r(α1,...,αn)=0ならα(α1,...,αn)=0である。
このときα∈F[α1,...,αn]だから、前段落の記述によりα=0となるので、
r(α1,...,αn)=0となるから、Ker(ψ)={0}。
ψは単射となりしたがって同型写像である。
故にF(α1,...,αn)≃F(x1,...,xn)。
例えばα1が代数的数なら、α2,...,αnは超越数ってことか。
演習問題7
(a)
gとpに単数でない最大公約数が存在すると、
pは最小多項式だから命題4.1.5によりF上既約なので、
最大公約数はpである。したがってあるd∈F[x]が存在してg=pd。
命題4.1.5によりp(α)=0だから、0=p(α)d(α)=g(α)=βとなり、
β≠0と矛盾。
したがってgとpの最大公約数は単数しかありえないから、
gとpは互いに素である。
(b)
Ap+Bg=1よりBg=1-Ap。p(α)=0だから、B(α)g(α)=1。
したがって、B(α) ∈F[α]はg(α)の乗法に関する逆元。
演習問題8
(a)
g=x2-3とし、gがℚ(√2)上可約と仮定する。
deg(g)=2だから、gがℚ(√2)上可約ならℚ(√2)上完全分解するので、
gはℚ(√2)に根を持つ。
√2はf=x2-2=0の根で、f∈ℚ[x]だから、√2はℚ上代数的である。
したがって命題4.1.15によりℚ(√2)=ℚ[√2]。
また、例4.1.16と同様に、(√2)2n=2n, (√2)2n+1=2n√2だから、
α∈ℚ[√2]はα=a+b√2, a,b∈ℚの形に書ける。
g=x2-3とするとg(α)=a2+2b2-3+2√2ab=0。
√2は無理数なので、ℚ∋a2+2b2-3=0かつℚ∋ab=0。
ℚは整域だから第2式よりa=0またはb=0。
これより第1式はそれぞれ、2b2-3=0またはa2-3=0、
故にℚ∋b=√6/2またはℚ∋a=√3となるが、これらは√3, √6の無理性に反する。
したがってx2-3=0はℚ[√2]=ℚ(√2)に根を持たないから、
ℚ(√2)上既約である。
(b)
f=x4-10x2+1とする。α=√2+√3∈ℚ(√2,√3)とすればf(α)=0で、
例4.1.7によりfはℚ上既約である。
(α-√3)2=2よりα2-2√3α+1=0なので、
αはg=x2-2√3x+1, g∈ℚ(√3)[x]の根でもある。
deg(g)=2<deg(f)=4だから、fはαのℚ(√3)上での最小多項式ではない。
deg(g)=2かつgはℚ[√3]=ℚ(√3)に根を持たないから、
gはℚ[√3]=ℚ(√3)上既約である。しかもg(α)=0なので、
命題4.1.5によりgがαのℚ(√3)上での最小多項式である。
αはℚ(√3)上代数的でf(α)=0だから、
補題4.1.3によりℚ(√3)[x]においてfはgの倍式である。
したがってfはℚ(√3)上既約でない。
実際x4-10x2+1=(x2-2√3x+1)(x2+2√3x+1)。
ちょっとびっくり。
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