演習問題7
置換σ∈Snはn個の添字の並べかえで、Snは群だからτ∈Snとしてτσ∈Sn
なので、τσもn個の添字の並べかえだから、τSn=Sn。
より正確には、写像φ: σ∈Sn→τσ∈Snを考えると、
任意のσ∈Snに対しσ=φ(τ-1σ)だからφは全射で、
τ-1σは一意だからφは単射である。
したがってσがSnの全ての元を動くとき、
φ(σ)=τσもSnのすべての元を動くから、τSn=Sn。
したがって任意のτ∈Snについて、p=∏σ∈Sn σ·f, s= ∑σ∈Sn σ·fとして
τ·p=τ·(∏σ∈Sn σ·f)= ∏σ∈Sn(τσ)·f=∏ρ∈Sn ρ·f=p
τ·s=τ·(∑σ∈Sn σ·f)= ∑σ∈Sn (τσ)·f=∑ρ∈Sn ρ·f=s
ここでラベルの変換ρ=τσを行った。
すなわち任意のτの作用のもとでp, sは不変だから、
p, sは対称多項式である。
演習問題8
(a)
B=e·BだからBC= e·B∏σ∈Sn∖{e}σ·B=∏σ∈Snσ·B
なので演習問題7によりBCは対称多項式。
(b)
A/B, BCが対称式だから(A/B)BC=ACは対称多項式。
(c)
AC, BCはF係数対称多項式なので、
定理2.2.2により基本対称式のF係数多項式として書けるから
f=AC/BCは基本対称式のF係数有理関数。
演習問題9
(a)
(2.5)式風に書くなら
x1a1x2a2x3a3...xnan<x1b1x2b2x3b3...xnbn
⇔ a1<b1、またはa1=b1, a2<b2、またはa1=b1, a2=b2, a3<b3、または...。
(b)
例えば(a)においてa1<b1であればa2以下がどうなっていても
x1a1x2a2x3a3...xnan<x1b1x2b2x3b3...xnbnだから、
例としてa1=0<b1=1, bi=0 (i≥2)として
x1> x2a2x3a3...xnanが無数の任意のx1x2a2x3a3...xnanについて成り立つ。
(c)
f1から先頭項を真に減少するには、LT(f1)=x1a1x2a2x3a3...xnan
で例えばa1≠0だったとして、a1を減少させていかなければならない。
減少させてf2, f3,...を得る 各ステップで、LT(fi)およびこれと同じa1
を持つ項のa1を減少させることになるが、a1≥0だから、
高々a1ステップでa1=0となる多項式fj (j≤a1)が得られ
LT(fj)=x2b2x3b3...xnbnを得る。
この間の各ステップで他のxiの指数は増大できるが、
増大させるステップ数も高々a1ステップで有限だから、
他のxiの指数は高々有限量しか増大しない。
すなわち、(b)より無数の真に減少した先頭項があるのだが、
先頭項を具体的に指定していく操作は有限回しかできない。
次にb2を高々b2ステップだけ減少してfk (k≤j+b1)を得て
LT(fj)=x3c3...xncnを得、その次にc3を高々c3ステップだけ減少...
という過程を繰り返すと、nは有限だからxnの指数までの全ての指数を
0まで減少し切るまでのステップ数も高々有限回であるから、
真に減少する多項式の列を作る過程は高々有限回で終了する。
したがって、真に減少するf2, f3,...の無限列を与えられたf1から得ることはできない。
(d)
(2.7)式の先頭項から始めて、先頭項と同じ大きさの対称式を引いていく
定理2.2.2の証明のプロセスは全く同様に実行でき、
(c)により有限回で終了するから、辞書式順序を用いても定理2.2.2が従う。
演習問題10
演習問題4で計算した。∑3 x12x2=σ1σ2-3σ3。
演習問題11
例2.2.6と同様に計算する。σ1=-2, σ2=-3, σ3=-5である。
ちなみに簡約3次方程式はx3-(13/3) x2+205/27=0、
Δ=-1231で実根は一つでα=z1+z2-2/3, β=ωz1+ω2z2-2/3, γ=ω2z1+ωz2-2/3,
ただしz1=∛{[-205/27+√(1231/27)]/2}, z2=∛{[-205/27-√(1231/27)]/2}。
各問での求める方程式をy3+by2+cy+d=0とする。
(a)
b=-σ2=3, c=σ1σ3=10, c=-σ32=-25より、
y3+3y2+10y-25=0。
(b)
b=-σ1-3=-1, c=σ2+2σ1+3=-4, d=σ1+σ2+σ3+1=-9より、
y3-y2-4y-9=0。
(c)
b=-σ1+2σ2=-10, c=σ22-2σ1σ3=-11, d=-σ32=-25より、
y3-10y2-11y-25=0。
演習問題12
(a)
a1,...anが全て異なれば、fの可能な項の数は、
単に異なるn個のxiaiを並べ替える順列の数だから、項の数はnPn=n!。
(b)
i番目のグループに含まれるli個の添字{k(i,j)}(1≤j≤li)に対し、
∏1≤j≤li xk(i,j)ak(i,j)の積の中でli!通りの添字の並べかえをしたものは全て同じ項を与える。
対称多項式においては相異なる項の和だけを考えるから、
(a)の結果において各iについてli!重の多重数え上げを打ち消して、
項の数はn!/( ∏1≤i≤r li!)。
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