2011-05-21

コックス「ガロワ理論」 3.2節の演習問題


演習問題1
(a)
f=0i≤deg(f) fixi, g=0j≤deg(g) gjxjとすると、
fg=ij figjxixj=ij fi gjxixj=i fixij gjxj= f g

(b)
f(α)=i fiαi=conjg(i fiαi)=conjg(f(α))=0

演習問題2
(a)
a (a>0)は少なくとも1つの実数の平方根aをもつ。
[x]においてx2+1は既約だから定理3.1.1により剰余環[x]/<x2+1>は体。
明らかにφ: [x]/<x2+1> (aa+<x2+1>)は準同型で
→Im()の写像として同型だから[x]/<x2+1>φによるの体拡大となり、
aa+<x2+1>[x]/<x2+1>において同一視できて[x]/<x2+1>

[x]/<x2+1>において(√ax+<x2+1>)2=ax2+<x2+1>=-a+<x2+1>だから、
[x]/<x2+1>において-a1つの平方根はax
p63Cauchyの構成と定理3.1.1により[x]/<x2+1>で、
同型写像ψが存在してψ(x)=iである。
ψφ: においてIm()と同一視すれば、
において任意の負の実数-a (a>0)に対し平方根aiが存在する。

(b)
(x+iy)2=x2-y2+2ixyだからa=x2-y2, b=2xy

(c)
b=2xyよりy=b/(2x)a=x2-y2
に代入してx2についての2次方程式として解けば
x2=[a±√(a2+b2)]/2

a0ならb≠0だからa+√(a2+b2)>0
a<0ならb2>0より、a2+b2>a20なので、
|a|=-a<√(a2+b2)からa+√(a2+b2)>0
したがって任意のaについてa+√(a2+b2)>0

(d)
a2+b2>a2より
(c)と同様に、a-√(a2+b2)<0なので、
α=√[a+√(a2+b2)]/2, β=√{-[a-√(a2+b2)]/2}とおいて
x2=α2, -β2xだからx2=α2xα
y=b/(2x)=より±b/(2α) (復号同順)
したがって(b)よりa+bi (b≠0)の平方根はα+ib/(2α), -α-ib/(2α)

演習問題3
f(x)=x2-a (a>0)とする。f(0)=-a<0である。
M>1, M>a>0なる十分大きいMに対し、
a<aM<M2より0<M2-a=f(M)だから、
IVTにより0<x1<M, f(x1)=0となるx1が、
少なくとも一つ存在する。
したがって、f(x)=0には実数解が存在するから、
任意の正の整数は実平方根を持つ。

演習問題4
Fの標数が2なら-1=1なので、-1Pかつ1Pとなるから、
(b)に反する。故にFの標数は2ではない。

-1Pなら、(b)により1Pだが、
(a)により(-1)(-1)=1Pとなり矛盾。
-1≠0だから-1Pである。

a2=-1となるaFが存在したと仮定する。
明らかにa≠0。またaPなら(a)によりa2=-1Pだから、
-1Pに反するのでa P。すると(b)により- aPなので
(a)によりP(-a)(- a)=a2=-1となるから-1Pに反する。
したがって、a2=-1となるaFは存在しない。

演習問題5
(a)
演習問題4により、x2+1=0の解はF上に存在しないから、
x2+1は既約。

(b)
Fは実閉体だから正元は平方根を持つ。
演習問題4によりFの標数は2でないので、
補題3.2.3の証明と同様に、
二次方程式ax2+bx+c=0の解の公式が
x=[-b±√(b2-4ac)]/(2a)F(i)が導かれる。
ただしb2-4ac<0なら√(b2-4ac)=i√(4ac- b2)
この解を用いて全ての二次多項式は
F(i)上完全分解する。

(c)
gF(i)[x]が偶数次だとすると、f=(x-α1)g (α1F(i))は奇数次だから、
実閉体の定義によりfは完全分解する。すなわち
α1は根だから定数aF(i)としてf=a(x-α1)(x-α2)... (x-αdeg(f))
ただしα2,...,αdeg(f) F(i)である。
(a)より命題3.1.1からF(i)=F[x]/<x2+1>は体だから、
A.5.7によりUFDとなるのでこの分解は一意である。
したがってg=a(x-α2)... (x-αdeg(f))と一意に完全分解される。
以上により、全ての次数のF(i)[x]の元はF(i)上完全分解するから、
F(i)は代数的閉である。

演習問題6
(a)
f=i fixi (fi)よりf(α)=i fiαi=conjg(i fiαi)=0

(b)
[x]のすべての定数でない多項式fが、
実数係数の1次と2次の多項式の積ならば、
補題3.2.3により2次の多項式は上完全分解するから、
fに少なくともひとつの根を持つので、
命題3.2.1により定理3.2.4の代数学の基本定理が成り立つ。

逆に定理3.2.4が成り立てば、(a)によりf[x]なら
fα,αを根に持つ。
αなら1次式の積として完全分解されたfの因子に(x-α)が含まれ、
αならfの因子に(x-α)(x-α)=x2-(α+α)x+ααが含まれる。
α+α, ααだから、x2-(α+α)x+αα[x]
したがって、[x]のすべての定数でない多項式fは、
実数係数の1次と2次の多項式の積。

演習問題7
Fが代数的閉なら、定義により
F[x]F上完全分解するから、任意の定数でないfF[x]について
定数aFとしてf=a(x-α1)(x-α2)... (x-αdeg(f)), α1,...,αdeg(f) F
したがってf(α1)=0, f(α2)=0,..., f(αdeg(f))=0だから、
fFに根を持つ。

逆に任意の定数でないfF[x]が根α1Fを持つとする。
deg(f)に関する数学的帰納法を適用する。
deg(f)=1なら定数aFとしてf=a(x-α1)なのでfは完全分解する。
deg(f)=nのときfが完全分解したとして、
deg(f)=n+1のとき、Fは体だから定理A.1.14により、
任意のfに対しqF[x] ,rFが存在してf=(x-α1)q+rだが、
f(α1)=0だからr=0なのでf=(x-α1)q
deg(q)=deg(f)-1=nだから、qF上完全分解するので、
fF上完全分解する。したがってFは代数的閉。

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