演習問題1
kが2以外の因数を含んだとすると、qを奇素数としてk=ql (l=k/q)とおける。
f=xk+1∈ℤ[x]⊂ℚ[x]とし、y=xlとおくと、f=yq+1∈ℤ[y]⊂ℚ[y]。
qは奇素数なのでy=-1はfの根だから、
命題4.2.6によりfはℚ上可約で、f=(y+1)g(y), g∈ℚ[y]。
したがって定理A.3.2(Gaussの補題)により、
f=g'h' (g',h'∈ℤ[y])なるg',h'が存在するので、
fはℤ上可約だから、f(x=2)=2k+1は合成数となる。
したがって2k+1が奇素数ならkは2冪。
演習問題2
(a)
例9.1.6によりΦp2(x)=(xp2-1)/(xp-1)だから、
Φp2(x+1)=[(x+1)p2-1]/[(x+1)p-1]となり、
[(x+1)p2-1]=[(x+1)p-1]Φp2(x+1)。
(b)
HTMLの制限で上付き線が出ないので、
Φp2(x+1)をpを法として還元したものをΦp2(x+1)と書く。
補題5.3.10によりmod pにおいて(x+1)p-1=(x p+1)-1=xp。
また(x+1)p2-1=[(x+1)p]p-1=(xp+1)p-1=(xp2+1) -1=xp2なので、
(a)によりxp2=xpΦp2(x+1)。
(c)
(b)によりΦp2(x+1)=
xp2-p=xφ(p2)。
一方deg(Φp2(x+1))=deg(Φp2(x))=φ(p2)だから、
Φp2(x+1)のうち最高次の係数以外はすべてpの倍数。
最高次の係数は1でpの倍数でないから、
Schönemann-Eisenstein判定法によりΦp2(x+1)はℚ上既約。
演習問題3
ζpはΦpの根で、Φpは命題4.2.5によりℚ上既約。
Φpの分解体はℚ(ζp)なので、[ℚ(ζp):ℚ]=deg(Φp)=p-1。
定理10.1.12により、ζpが作図可能であることは、
k∈ℕとして[ℚ(ζp):ℚ]=2kと同値だから、
p=2k+1が奇素数であることと同値。
演習問題1によりkは2冪なので、pがFermat素数であること同値。
演習問題4
m|n、m>0よりn/m∈ℕだから
(ζn)n/m=(e2πi/n)n/m=e2πi/m =ζm。
ζnが作図可能なら、10.1節演習問題2(b)の方法をn/m回繰り返して、
ζmが作図可能。
演習問題5
(a)
sについての数学的帰納法で証明する。
s=1のときζ2=-1は作図可能。
ζ2sが作図可能と仮定すると、角の2等分は常に可能だから、
0,1, ζ2sのなす角の2等分線と単位円との2つの交点のうち、
上半平面にあるものをとれば、ζ2s+1
が得られるから、ζ2s+1は作図可能。
したがってすべてのs∈ℕについてζ2sは作図可能。
スマートにやるなら、1≤i≤sについて、
ζ2i はfi=x2-ζ2i-1∈ℚ(ζ2i-1)[x]の根。
fiはℚ(ζ2i-1)に根を持たないので命題4.2.6によりℚ(ζ2i-1)上規約だから、
[ℚ(ζ2i):ℚ(ζ2i-1)]=deg(fi)=2。
したがって、ℚ⊂ℚ(ζ2)...⊂ℚ(ζ2s), [ℚ(ζ2i):ℚ(ζ2i-1)]=2となる部分体の列が存在するから、
定理10.1.6によりζ2s∈C。
(b)
α∈C∖{0}なら任意のk∈ℤに対しαkは作図可能。
gcd(a,b)=1だから、am+bn=1の整数解n,m∈ℤが存在するので、
この解の組の一つn,mをとって、
ζa, ζbが作図可能なら(ζa)n(ζb)m=e2πi(n/a+m/b)=e2πi(am+bn)/(ab)=e2πi/(ab)=ζab
は作図可能となる。
スマートにややこしくやるなら、
gcd(a,b)=1なので9.1節演習問題16により、ℚ(ζa, ζb)=ℚ(ζab)。
ζaは作図可能だから、定理10.1.6により、
ℚ=F0⊂...⊂Fn=ℚ(ζa), [Fi:Fi-1]=2 (1≤i≤n)である部分体の列が存在するので、
定理4.3.8(塔定理)により[ℚ(ζa):ℚ]=2n。
同様にζbは作図可能なので、
ℚ=K0⊂...⊂Km=ℚ(ζb), [Kj:Kj-1]=2 (1≤j≤m)である部分体の列が存在し、
[ℚ(ζb):ℚ]=2m。
9.1節演習問題16によりΦbはℚ(ζa)上規約だから、
[ℚ(ζa,ζb):ℚ(ζa)]=[ℚ(ζb):ℚ]=2mとなるので、
塔定理により[ℚ(ζab):ℚ]= [ℚ(ζa,ζb):ℚ]=[ℚ(ζa,ζb):ℚ(ζa)][ℚ(ζa):ℚ]=2n+m。
ℚ(ζab)はζabのℚ上の最小多項式の分解体だから、
定理10.1.12によりζab∈C。
(c)
(b)を繰り返し用いて、n=2sp1...prならζnは作図可能。
演習問題6
(a)
ζnが作図可能でp|nだから、演習問題4によりζpが作図可能。
故に演習問題3により、pはFermat素数でなければならない。
(b)
ζnが作図可能なら、p2|nだから演習問題4によりζp2が作図可能。
演習問題2(c)によりΦp2はℚ上既約だから、
[ℚ(ζp2):ℚ]=φ(p2)=p2-pよりp|[ℚ(ζp2):ℚ]。
一方、ℚ(ζp2)はζp2のℚ上の分解体なので、
ζp2が作図可能なら定理10.1.12により、
[ℚ(ζp2):ℚ]は2冪でなければならないから、
pは奇素数なのでp∤[ℚ(ζp2):ℚ]となり矛盾。
したがってp2|nならζnは作図不能。
演習問題7
Eratosthenesの篩を用いて地道に調べることで、
3,5,17,257,65537は素数であることが示される。
演習問題8
log10F33=233log102=1033log10 2 log102。
log102≈0.301029996より、
log10F33≈0.301029996·109.93398986≈2.58582799·109
だから、約25億8600万桁である。
同様にlog10F2478782=102478782log10 2log102。
≈0.301029996·10746187.735≈1.635·10746187
となり、F2478782は莫大な桁数となる。
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