2011-12-01

コックス「ガロワ理論」 10.2節の演習問題


演習問題1
k2以外の因数を含んだとすると、qを奇素数としてk=ql (l=k/q)とおける。
f=xk+1[x][x]とし、y=xlとおくと、f=yq+1[y][y]
qは奇素数なのでy=-1fの根だから、
命題4.2.6によりf上可約で、f=(y+1)g(y), g[y]
したがって定理A.3.2Gaussの補題)により、
f=g'h' (g',h'[y])なるg',h'が存在するので、
f上可約だから、f(x=2)=2k+1は合成数となる。
したがって2k+1が奇素数ならk2冪。

演習問題2
(a)
9.1.6によりΦp2(x)=(xp2-1)/(xp-1)だから、
Φp2(x+1)=[(x+1)p2-1]/[(x+1)p-1]となり、
[(x+1)p2-1]=[(x+1)p-1]Φp2(x+1)

(b)
HTMLの制限で上付き線が出ないので、
Φp2(x+1)pを法として還元したものをΦp2(x+1)と書く。

補題5.3.10によりmod pにおいて(x+1)p-1=(x p+1)-1=xp
また(x+1)p2-1=[(x+1)p]p-1=(xp+1)p-1=(xp2+1) -1=xp2なので、
(a)によりxp2=xpΦp2(x+1)

(c)
(b)によりΦp2(x+1)= xp2-p=xφ(p2)
一方deg(Φp2(x+1))=deg(Φp2(x))=φ(p2)だから、
Φp2(x+1)のうち最高次の係数以外はすべてpの倍数。
最高次の係数は1pの倍数でないから、
Schönemann-Eisenstein判定法によりΦp2(x+1)上既約。

演習問題3
ζpΦpの根で、Φpは命題4.2.5により上既約。
Φpの分解体は(ζp)なので、[(ζp):]=deg(Φp)=p-1
定理10.1.12により、ζpが作図可能であることは、
kとして[(ζp):]=2kと同値だから、
p=2k+1が奇素数であることと同値。
演習問題1によりk2冪なので、pFermat素数であること同値。

演習問題4
m|nm>0よりn/mだから
(ζn)n/m=(e2πi/n)n/m=e2πi/m =ζm
ζnが作図可能なら、10.1節演習問題2(b)の方法をn/m回繰り返して、
ζmが作図可能。

演習問題5
(a)
sについての数学的帰納法で証明する。
s=1のときζ2=-1は作図可能。
ζ2sが作図可能と仮定すると、角の2等分は常に可能だから、
0,1, ζ2sのなす角の2等分線と単位円との2つの交点のうち、
上半平面にあるものをとれば、ζ2s+1
が得られるから、ζ2s+1は作図可能。
したがってすべてのsについてζ2sは作図可能。

スマートにやるなら、1isについて、 ζ2fi=x2-ζ2i-1(ζ2i-1)[x]の根。
fi(ζ2i-1)に根を持たないので命題4.2.6により(ζ2i-1)上規約だから、
[(ζ2i):(ζ2i-1)]=deg(fi)=2
したがって、(ζ2)...(ζ2s), [(ζ2i):(ζ2i-1)]=2となる部分体の列が存在するから、
定理10.1.6によりζ2sC

(b)
αC{0}なら任意のkに対しαkは作図可能。
gcd(a,b)=1だから、am+bn=1の整数解n,mが存在するので、
この解の組の一つn,mをとって、
ζa, ζbが作図可能なら(ζa)n(ζb)m=e2πi(n/a+m/b)=e2πi(am+bn)/(ab)=e2πi/(ab)=ζab
は作図可能となる。

スマートにややこしくやるなら、
gcd(a,b)=1なので9.1節演習問題16により、(ζa, ζb)=(ζab)
ζaは作図可能だから、定理10.1.6により、
=F0...Fn=(ζa), [Fi:Fi-1]=2 (1in)である部分体の列が存在するので、
定理4.3.8(塔定理)により[(ζa):]=2n
同様にζbは作図可能なので、
=K0...Km=(ζb), [Kj:Kj-1]=2 (1jm)である部分体の列が存在し、
[(ζb):]=2m

9.1節演習問題16によりΦb(ζa)上規約だから、
[(ζa,ζb):(ζa)]=[(ζb):]=2mとなるので、
塔定理により[(ζab):]= [(ζa,ζb):]=[(ζa,ζb):(ζa)][(ζa):]=2n+m
(ζab)ζab上の最小多項式の分解体だから、
定理10.1.12によりζabC

(c)
(b)を繰り返し用いて、n=2sp1...prならζnは作図可能。

演習問題6
(a)
ζnが作図可能でp|nだから、演習問題4によりζpが作図可能。
故に演習問題3により、pFermat素数でなければならない。

(b)
ζnが作図可能なら、p2|nだから演習問題4によりζp2が作図可能。
演習問題2(c)によりΦp2上既約だから、
[(ζp2):]=φ(p2)=p2-pよりp|[(ζp2):]
一方、(ζp2)ζp2上の分解体なので、
ζp2が作図可能なら定理10.1.12により、
[(ζp2):]2冪でなければならないから、
pは奇素数なのでp[(ζp2):]となり矛盾。
したがってp2|nならζnは作図不能。

演習問題7
Eratosthenesの篩を用いて地道に調べることで、
3,5,17,257,65537は素数であることが示される。

演習問題8
log10F33=233log102=1033log10 2 log102
log1020.301029996より、
log10F330.301029996·109.93398986≈2.58582799·109
だから、約258600万桁である。

同様にlog10F2478782=102478782log10 2log102
0.301029996·10746187.7351.635·10746187
となり、F2478782は莫大な桁数となる。

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