演習問題10
(a)
g+<f>, h+<f>∈Rについて、
φ(g+<f>+h+<f>)=φ(g+h+<f>)=(g+h+<f1>,..., g+h+<fk>)
=(g+<f1>+h+<f1>,..., g+<fk>+h+<fk>)=φ(g+<f>)+φ(h+<f>)。
φ((g+<f>)(h+<f>))=φ(gh+<f>)=(gh+<f1>,..., gh+<fk>)
=((g+<f1>)(h+<f1>),...,(g+<fk>)(h+<fk>))=φ(g+<f>)φ(h+<f>)。
によりφは環準同型。
(b)
0R1×...×Rk=(0R1+<f1>,..., 0Rk+<fk>)について、
φ(g+<f>)=0R1×...×Rkなら、1≤i≤kなるすべてのiについてg∈<fi>。
すなわちg∈⋂1≤i≤k<fi>=<f>=0Rだから、Ker(φ)=0Rとなりφは1対1。
(c)
RはFp係数のdeg(f)-1次多項式全体からなるから、
dim(R)=deg(f)。
同様に1≤i≤kなるiについてdim(Ri)=deg(fi)だから、
dim(R1×...×Rk)=deg(f1)+...+deg(fk)=deg(f)=dim(R)。
(d)
(a)によりφはFp上のベクトル空間の写像としてみたとき線型写像となるから、
線形代数の次元定理と(c)により、
dim(Im(φ))+dim(Ker(φ))=dim(R1×...×Rk)=dim(R)。
(b)によりφは1対1でdim(Ker(φ))=0だから、
dim(Im(φ))=dim(R)となるので、φは全射、故に同型。
演習問題11
(a)
g+<f>∈Ker(T-1R)とすると、
(T-1R)(g)=gp-g+<f>=0R=0+<f>。また明らかに1R, 0R∈Ker(T-1R) である。
g+<f>,h+<f>∈Ker(T-1R)とすると、
(T-1R)(g+<f>+h+<f>)=(g+h)p-(g+h)+<f>=gp+hp-g-h+<f>=0R。
(T-1R)((g+<f>)(h+<f>))=gphp-gh+<f>=gh-gh+<f>=0Rだから、
Ker(T-1R)は環。同様にして、Ker(T'-1R')も環であることが容易に示される。
φ|Ker(T-1R)を考えると、演習問題10によりφは同型だから、
φ|Ker(T-1R)は1対1。
1≤i≤kなるすべてのiについて<f>⊂<fi>だから、
g+<f>∈Ker(T-1R)とするとgp-g+<fi>=0Ri、
故に(T'-1R')(φ|Ker(T-1R)(g+<f>))=(gp-g+<f1>,..., gp-g+<fk>))=(0R1,...,0Rk)=0Rだから、
φ|Ker(T-1R)(g+<f>)∈Ker(T'-1R')なのでIm(φ|Ker(T-1R))⊂Ker(T'-1R')。
φは同型だから、Ker(φ|Ker(T-1R))=0Ker(T-1R)=0R、
するとφは線形写像だから、線形代数の次元定理により、
dim(Ker(T'-1R'))=dim(Im(φ))+dim(Ker(φ))=dim(Im(φ))となるので、
Im(φ|Ker(T-1R))=Ker(T'-1R')。故にφ|Ker(T-1R)は全射となるので同型。
したがってKer(T-1R)≃Ker(T'-1R')。
(b)
1≤i≤kなるすべてのiについてfiはFp上規約だから、
命題3.1.1により<fi>はFp[x]の極大イデアル。
故に定理A.1.12によりRi=Fp[x]/<fi>は有限体なので、
命題11.1.1、定理11.1.4、系11.1.3、定理11.1.7により、
m>0をある整数としてRiはFpのあるGalois拡大Fpmと同型で、
α∈Fpmがfkの根なら補題4.1.13によりRi≃Fp[α]≃Fpm。
さらにTi:Ri→Riをp乗写像とすると、TiはFpmのFrobenius自己同型。
(T'-1R')((g+<f1>,..., g+<fk>))=((T1-1R1))(g+<f1>),..., (Tk-1Rk)(g+<fk>)で、
Ker(Ti-1Ri)はgp-g+<fk>=0RiなるFp[x]の剰余類g+<fk>∈Riだから、
Fp[α]においてはβ=g(α)としてβp=Frobp(β)=βである。
故にFrobp(β)は、Ker(Ti-1Ri)と同型なFpmの部分体上恒等だから、
Ker(Ti-1Ri)≃Fp。
よって1≤i≤kについてdim(Ker(Ti-1Ri))=dim(Fp)=1だから、
dim(Ker(T'-1R'))=k。
(c)
演習問題10(c)によりdim(R1×...×Rk)=deg(f)=n。
線形代数の次元定理と(b)により、
n=dim(R1×...×Rk)=dim(Im(T'-1R'))+dim(Ker(T'-1R'))
= dim(Im(T'-1R'))+kだから、dim(Im(T'-1R'))=n-k。
演習問題10によりR≃R1×...×Rk 、
また(a)によりKer(T-1R)≃Ker(T'-1R')だから、
dim(Im(T-1R))=n-k。したがってrank(T-1R)=n-k。
fが規約ならk=1、可約ならk>1だから、定理11.2.9を得る。
演習問題12
(a)
α∈Fpなら定理11.1.2により(T-1R)(α)=αp-α=0だから、
α∈Ker(T-1R)なのでFp⊂Ker(T-1R)。
Ker(T-1R)はFp上のベクトル空間だから、FpはKer(T-1R)の1次元部分空間。
(b)
fは可約なので因数分解f=f1...fkを持つ。
ここでf1,...,fk∈Fp[x]は相異なる規約単多項式でk ≥2。
すると演習問題11によりdim(Ker(T-1R)) =k≥2で、
(a)によりFp[x]の定数はKer(T-1R)の1次元部分空間だから、
定数でないh+<f >∈Ker(T-1R), deg(h)<nが存在する。
h+<f >∈Ker(T-1R)だから(T-1R)(h+<f >)=hp-h+<f >=0R=<f >なので、
hp-h∈<f >だから、f|hp-h。
(c)
定理11.1.2によりFp[x]においてxp-x=∏a∈Fp (x-a)だから、
xの代わりにhとおけばFp[x]における因数分解
hp-h=∏a∈Fp (h-a)を得る。
(d)
(b)によりfは∏a∈Fp (h-a)の因数だから、
(c)によりf=gcd(f, ∏a∈Fp (h-a))=∏a∈Fp gcd(f, h-a)
(e)
gcd(f,h-a)|h-aだから、0<deg(gcd(f,h-a))≤deg(h-a)<n=deg(f)となり、
故にf∤gcd(f,h-a))。
さらにgcd(f,h-a)|fにより、f≠gcd(f,h-a)だから、
gcd(f,h-a)は定数でない、次数がnより小さいfの因子。
演習問題13
(a)
F2[x]においてf'=1だから、gcd(f,f')=1なので、
命題5.3.2によりfは分離的。
fが因数分解f=f1...fkを持つとする。
ここでf1,...,fk∈Fp[x]は相異なる規約単多項式。
演習問題11によりk=deg(f)-rank(T-1R)=6-rank(T-1R)である。
Tは2乗写像で、例11.2.10と同様に、
R=F2[x]/<f>の基底1,x,x2, x3, x4, x5の2乗はそれぞれ、
1, x2, x4, x4+x+1, x4+x3+x2+x+1, x5+x3+x2+x+1だから、
例11.2.10と同様に行列を計算し、Maximaコマンド
T_1R:matrix([0,0,0,1,1,1],[0,1,0,1,1,1],[0,1,1,0,1,1],
[0,0,0,1,1,1],[0,0,1,1,0,0],[0,0,0,0,0,0]);
rank(T_1R),modulus:2;
を用いてrank(T-1R)=3を得るので、k=6-3=3。
したがって、fはF2[x]の3つの既約多項式の積。
(b)
Maximaコマンド
h:x^2+x^3+x^5;
g1:gcd(f,h),modulus:2;
g2:gcd(f,h+1),modulus:2;
によりg1=gcd(f,h)=x3+x+1, g2=gcd(f,h+1)=x3+1となり、
g1g2=x6+x4+x+1=fとなる。
(c)
例えばh'=(0,0,0,0,1,1)(hと直交はしない)。
Maximaコマンド
h2:x^4+x^5;
gcd(g1,h2),modulus:2;
gcd(g2,h2),modulus:2;
を用いて、gcd(g1,h')=1, gcd(g2,h'+1)=x+1。
(d)
(c)によりg2は可約でg2=(x+1)(x2+x+1)。
系A.5.7によりF2[x]はUFDで、
(a)によりfはF2[x]の3つの既約多項式の積だとわかっているから、
fの因数分解は(x+1)(x2+x+1)(x3+x+1)の一通りしかなく、
各因数はF2[x]の既約多項式である。
演習問題14
(a)
Fpnの真部分体の原始元はFpnを生成しないので、
Fpnの原始元の数Pnは、|Fpn|=pnから真部分体の原始元を除いた数である。
系11.1.8により、FpmがFpnの部分体であることはm|nと同値だから、
Pn=pn-∑m|n, m≠n Pmとなり、これよりpn=∑m|n Pmを得る。
(b)
Möbiusの反転公式を普通に適用するだけ。
(c)
(b)と定理11.2.4からnNn=Pn。
Fpnの原始元はFp[x]のNn個のn次既約単多項式の根だからである。、
演習問題15
(a)
Fpn*は命題A.5.3により巡回群に同型で、
命題11.1.1により|Fpn*|=pn-1。
したがって9.1節演習問題10により、
Fpnの原始根、すなわちFpn*の生成元の個数はφ(pn-1)。
(b)
Fpnの原始根の任意の1つをα、αのFp上の最小多項式をfとする。
α∈Fpn*=Fpn∖{0}⊂Fpnだから、
定理11.1.2によりαはxpn-1-1の根で、
定理11.1.2によりαはxpn-1-1の根で、
命題11.2.1によりf|(xpn-1-1)かつm=deg(f)|n。
m<nなら、命題11.2.1によりfはFpmに根を持つ。
Fp⊂FpmはGalois拡大だから正規拡大なので、
fはFpm上完全分解するから、α∈Fpm*となり、αはFpn*の生成元でない。
故にm=deg(f)=nである。
(c)
命題A.5.3とo(α)=pn-1により、Fpn*=<α>≃(ℤ/pnℤ)*だから、
定理11.2.7においてm=n, d=pn-1。したがって、
Φpn-1はn次既約多項式のすべての積。
演習問題16
fがF2上既約なら命題11.2.1によりf|(xpr-x)。
逆にf|(xpr-x)とすると、定理11.1.2によりfはF2r上完全分解する。
う~ん...。
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