演習問題1
0q=0, 1q=1だから0,1∈F。α,β∈Fとすると、
補題5.3.10により(α+β)q=αq+βq=α+β、
(αβ)q=αqβq=αβ、α≠0なら(α-1)q=α-q=α-1だから、α+β, αβ, α-1∈F。
故にFはLの部分体。
演習問題2
定理A.1.14により、fとgの互除法は、
F[x]で行うかL[x]で行うかによらず一意に決まる。
したがって、F[x]でgcd(f,g)=hならL[x]でもgcd(f,g)=h。
演習問題3
FpmがFpnの部分体と同型ならm|nであることは、
系11.1.8の証明と同様。
逆にm|nとする。
F={α∈Fpn|αpm =α}とすれば、0pm=0, 1pm=1だから0,1∈F。
Fpnは標数pだから、α,β∈Fとして5.3節演習問題2により
(α+β)pm=αpm+βpm=α+β、(αβ)pm=αpmβpm=αβ、α≠0なら(α-1)pm=α-pm=α-1
なのでα+β, αβ, α-1∈F。故にFはFpnの部分体。
α∈Fは定義によりFpnにおけるf=xpm-x∈Fp[x]の根全体からなるから、
命題11.1.5により|F|=deg(gcd(f,xpn-x))。
ところで、命題9.1.5によりℤ[x]において
xpn-x=x(xpn-1-1)=x∏d|(pn-1)
Φd(x)。m|nよりn=dmとすると
pn-1=(pm)d-1=∏e|d
Φe(pm)=(pm-1)∏e|d,e>1 Φe(pm)だから、
(pm-1)|(pn-1)である。
故にxpn-x=x∏d|(pn-1) Φd(x)=xg∏d|(pm-1) Φd(x)=x(xpm-1-1)g=(xpm-x)g
(ただしg=∏e|(pn-1), e∤(pm-1) Φe(x)∈ℤ[x])だから、ℤ[x]において(xpm-x)|(xpn-x)。
pを法としてxpm-xを還元すると、Fp[x]においてf|(xpn-x)。
これよりFp[x]においてgcd(f,xpn-x)=fだから、|F|=deg(f)=pm=|Fpm|。
したがって系11.1.3によりF≃Fpmとなり、FpmはFpnの部分体と同型。
演習問題4
定理11.1.7によりGal(Fpn/Fp)=<Frobp>≃ℤ/nℤ,
|Gal(Fpn/Fp)|=nで、
m|nだから定理A.1.4により、
Gal(Fpn/Fp)は位数n/mの部分群<(Frobp)m>≃ℤ/(n/m)ℤを唯一つ持つ。
したがってGalois対応により<(Frobp)m>=Gal(Fpn/Fpm)≃ℤ/(n/m)ℤ。
やっと自分の中で「Galois対応により」と利いた風なことが、
少し言えるようになってきたw
演習問題5
(a)
1,3,5,7の4つの解を持つので、解の数はdeg(x2-1)=2より大きい。。
(b)
m=4のとき、ℤ/4ℤに根を持つℤ/4ℤ[x]の二次多項式は、
x,x-1, x-2, x-3のうち2つの積だが、どの2つの積も、
2つの根しか持たない。したがってmは素数とは限らない。
演習問題6
φψ=F+pχなるφ,ψ,χ∈ℤ[x] (deg(φ),deg(ψ)<deg(F)=n)が存在すれば、
φ,ψ,F をpを法として還元した多項式をそれぞれφ,ψ,F∈Fp[x]とすれば、
Fp[x]においてφψ=Fとなる。
Fのn次の係数はpで割り切れないから、deg(F)=nである。
Fのn次の係数はφ,ψの最高次の係数同士の積だから、
これらの係数もpで割り切れない。
したがってφ,ψは定数でないからdeg(φ),deg(ψ)<nとなり、
FはFp上可約。
対偶を取って、FはFp上規約なら、
条件を満たすφψ=F+pχなるφ,ψ,χ∈ℤ[x]は存在しない。
逆にFがFp上可約でφψ= Fと仮定する。
ただしdeg(F)=n, deg(φ),deg(ψ)<nで、
Fpは体だから整域なので(A.4)によりdeg(φ)+deg(ψ)=n。
φの係数をそのまま使ってφ∈ℤ[x]を作るとdeg(φ)=deg(φ)<nで、
定理A.1.14によりF=qφ+rなるq,r∈ℤ[x] (deg(r)<deg(φ))が一意に存在し、
ℤは整域だから(A.4)によりdeg(q)=n-deg(φ)。
そこでψの係数をそのまま使ってψ∈ℤ[x]を作ると、
deg(ψ)=deg(ψ)=n-deg(φ)で、
再び定理A.1.14により、q=sψ+tなるs,t∈ℤ[x] (deg(t)<deg(ψ))が
一意に存在するが、deg(q)=deg(ψ)だからsとtは定数。
このときF=sφψ+tψ+rで、Fをpを法として還元するとF=φψ
とならなければならないから、s≡1 (mod p)かつ、
tψ+rの各項の係数がpを法として0に合同となる。
したがって、tψ+r=-pχとおけるので、φψ=F+pχ、φ,ψ,χ∈ℤ[x]となる。
対偶を取って、条件を満たすφψ=F+pχなるφ,ψ,χ∈ℤ[x]が存在しないなら、
FはFp上規約。
演習問題7
定理11.1.7によりGal(Fpν/Fp)=<Frobp>, o(Frobp)=νだから、
iがfの分解体における一つの根なら、
命題6.1.4によりこの分解体での他の根は
Frobp(i), (Frobp)2(i), …, (Frobp)ν-1(i)すなわちip, ip2,…,
ipν-1である。
演習問題8
(a)
I,JはRのイデアルだから、a∈R,
r∈I, s∈Jとすれば、ar∈I, as∈J。
故にr+s∈I+Jならa(r+s)=ar+as∈I+JだからI+JはRのイデアル。
r+J∈I =I/J (r∈I)なら、a+J∈R/J (a∈R)に対し(a+J)(r+J)=ar+J∈I
となるのでIはR/Jのイデアル。
(b)
この写像をφ、またa,b∈R, A=a+(I+J) ∈R/(I+J), B=b+(I+J) ∈R/(I+J)とする。
φ(A+B)=φ(a+b+(I+J))=(a+b+J)+I=(a+J)+I +(b+J)+I=φ(A)+φ(B)。
またφ(AB)=φ(ab+aI+aJ+bI+bJ+(I+J)(I+J))=φ(ab+(I+J))=(ab+J)+Iで、
φ(A)φ(B)=[(a+J)+I
][(b+J)+I]=[ab+(a+b)J+JJ]+(a+J)I+(b+J)I
=(ab+J)+(a+J)I+(b+J)Iだが、(a)によりIはR/Jのイデアルだから、
(a+J)I+(b+J)I
=Iなので、φ(A)φ(B)=(ab+J)+Iとなり、φ(AB)=φ(A)φ(B)。
したがってφは環準同型。
φは明らかに全射。またφ(A)=(a+J)+I=0(R/J)/Iならa=0だから、
a+(I+J)=0R/(I+J)なので、Ker(φ)=0R/(I+J)となりφは1対1となり、故に同型。
したがってR/(I+J)≃(R/J)/I。
演習問題9
(a)
この求値写像をφとすると命題2.1.2によりφは環準同型で、
明らかにIm(φ)=ℤ[α]だからφは全射。
αはfの根でℤ上既約だから、fをℚ[x]の元とみなせば
系4.2.1(の対偶)によりℚ上既約。
故に命題4.1.5、、fはαのℚ上の最小多項式で、
補題4.1.3によりg∈ℤ[x]⊂ℚ[x], g(α)=0ならgはfの倍式、またfは単多項式。
したがって9.1節演習問題4により、
h∈ℤ[x]が一意に存在してℤ[x]においてg=fhだからg∈fℤ[x]。
したがってKer(φ)=fℤ[x]。
よって定理A.1.9(環準同型の基本定理)によりφを用いて
ℤ[x]/fℤ[x]≃ℤ[α]の同型が矛盾なく定義される。
(b)
<p,f>=pℤ[x]+fℤ[x]だから演習問題8(b)において、
R=ℤ[x], I=pℤ[x], J=fℤ[x]とみればℤ[x]/<p,f>≃(ℤ[x]/fℤ[x])/pℤ[x]、
ただしpℤ[x]={q+fℤ[x]|
q∈pℤ[x]}=pℤ[x]/fℤ[x]。
ここで(a)によりℤ[x]/fℤ[x]≃ℤ[α]、
またfはℤ[x]でαのの最小多項式だから、
補題4.1.13によりpℤ[x]=pℤ[x]/fℤ[x]=pℤ[α]。
したがってℤ[x]/<p,f>≃ℤ[α]/pℤ[α]。
(c)
(b)と異なる手順で、演習問題8(b)において、
R=ℤ[x], I=fℤ[x], J=pℤ[x]とみればℤ[x]/<p,f>≃(ℤ[x]/pℤ[x])/fℤ[x]、
ただしfℤ[x]={r+pℤ[x]|
r∈fℤ[x]}=fℤ[x]/pℤ[x]。
ここでℤ[x]/pℤ[x]=Fp[x], fℤ[x]/pℤ[x]=<f>だから、
ℤ[x]/<p,f>≃Fp[x]/<f>。
演習問題10
(a)
Maximaコマンド
f:2+2*x+2*x^2+2*x^3+2*x^4+2*x^5
+2*x^6+2*x^7+x^8+x^9+x^10;
+2*x^6+2*x^7+x^8+x^9+x^10;
gcd(f,x^(3^3)-x),modulus:3;
により
gcd(f,x33-x)=x3-x2+x+1だからF33におけるfの根の個数は3個。
同様にMaximaコマンド
gcd(f,x^(3^7)-x),modulus:3;
により
gcd(f,x37-x)=x7-x6-x5+x4-x3+x2-1だからF37におけるfの根の個数は7個。
(b)
fのF3上の分解体をLとすると、
定理5.1.5によりF3⊂Lは有限次拡大だから、
定理4.4.3によりLは有限体なので、
命題11.1.1によりL=Fpn, n=[L:F3]。
Maximaで計算してgcd(f,f')=1だから命題5.3.2によりfは分離的。
またMaximaで計算してF3においてgcd(f,x33-x)gcd(f,x37-x)=fとなるので、
fの分解体Lにおいてfが完全分解した10個の異なる1次式は、
gcd(f,x33-x)に3個、gcd(f,x37-x)に7個割り振られている。
したがってF33, F37はともにLの部分体だから、
系11.1.8により3|n,かつ7|nなのでlcm(3,7)=21|n。
L=FpnはF33, F37を含む最小の体だから、n=21。
よってL=F321で、F33, F37の合成体F33F37である。
演習問題11
fは規約なので、fの根の1つをαとすると、
命題4.3.4により[Fp(α):Fp]=nで、
Fp(α)の任意の元はa0+a1α+...+ an-1αn-1 (a0, a1,..., an-1∈Fp)の形で一意に表される。
(a0, a1,..., an-1)の異なる選択はpn通りだから、|Fp(α)|=pnとなるので、
系11.1.3によりFp(α)≃Fpn。
定理11.1.7によりFp⊂FpnはGalois拡大だから正規拡大で、
fの根αを含むから、fはFpn上完全分解する。
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