2011-12-07

コックス「ガロワ理論」 11.1節の演習問題


演習問題1
0q=0, 1q=1だから0,1Fα,βFとすると、
補題5.3.10により(α+β)q=αq+βq=α+β
(αβ)q=αqβq=αβα0なら(α-1)q=α-q-1だから、α+β, αβ, α-1F
故にFLの部分体。

演習問題2
定理A.1.14により、fgの互除法は、
F[x]で行うかL[x]で行うかによらず一意に決まる。
したがって、F[x]gcd(f,g)=hならL[x]でもgcd(f,g)=h

演習問題3
FpmFpnの部分体と同型ならm|nであることは、
11.1.8の証明と同様。

逆にm|nとする。
F={αFpn|αpm =α}とすれば、0pm=0, 1pm=1だから0,1F
Fpnは標数pだから、α,βFとして5.3節演習問題2により
(α+β)pm=αpm+βpm=α+β(αβ)pm=αpmβpm=αβα0なら(α-1)pm=α-pm-1
なのでα+β, αβ, α-1F。故にFFpnの部分体。
αFは定義によりFpnにおけるf=xpm-xFp[x]の根全体からなるから、
命題11.1.5により|F|=deg(gcd(f,xpn-x))

ところで、命題9.1.5により[x]において
xpn-x=x(xpn-1-1)=xd|(pn-1) Φd(x)m|nよりn=dmとすると
pn-1=(pm)d-1=e|d Φe(pm)=(pm-1)∏e|d,e>1 Φe(pm)だから、
(pm-1)|(pn-1)である。
故にxpn-x=xd|(pn-1) Φd(x)=xgd|(pm-1) Φd(x)=x(xpm-1-1)g=(xpm-x)g
(ただしg=e|(pn-1), e(pm-1) Φe(x)[x])だから、[x]において(xpm-x)|(xpn-x)

pを法としてxpm-xを還元すると、Fp[x]においてf|(xpn-x)
これよりFp[x]においてgcd(f,xpn-x)=fだから、|F|=deg(f)=pm=|Fpm|
したがって系11.1.3によりFFpmとなり、FpmFpnの部分体と同型。

演習問題4
定理11.1.7によりGal(Fpn/Fp)=<Frobp>/n, |Gal(Fpn/Fp)|=nで、
m|nだから定理A.1.4により、
Gal(Fpn/Fp)は位数n/mの部分群<(Frobp)m>/(n/m)を唯一つ持つ。
したがってGalois対応により<(Frobp)m>=Gal(Fpn/Fpm)/(n/m)

やっと自分の中で「Galois対応により」と利いた風なことが、
少し言えるようになってきたw

演習問題5
(a)
1,3,5,74つの解を持つので、解の数はdeg(x2-1)=2より大きい。。

(b)
m=4のとき、/4に根を持つ/4[x]の二次多項式は、
x,x-1, x-2, x-3のうち2つの積だが、どの2つの積も、
2つの根しか持たない。したがってmは素数とは限らない。

演習問題6
φψ=F+なるφ,ψ,χ[x] (deg(φ),deg(ψ)<deg(F)=n)が存在すれば、
φ,ψ,F pを法として還元した多項式をそれぞれφ,ψ,FFp[x]とすれば、
Fp[x]においてφψ=Fとなる。
Fn次の係数はpで割り切れないから、deg(F)=nである。
Fn次の係数はφ,ψの最高次の係数同士の積だから、
これらの係数もpで割り切れない。
したがってφ,ψは定数でないからdeg(φ),deg(ψ)<nとなり、
FFp上可約。
対偶を取って、FFp上規約なら、
条件を満たすφψ=F+なるφ,ψ,χ[x]は存在しない。

逆にFFp上可約でφψ= Fと仮定する。
ただしdeg(F)=n, deg(φ),deg(ψ)<nで、
Fpは体だから整域なので(A.4)によりdeg(φ)+deg(ψ)=n

φの係数をそのまま使ってφ[x]を作るとdeg(φ)=deg(φ)<nで、
定理A.1.14によりF=+rなるq,r[x] (deg(r)<deg(φ))が一意に存在し、
は整域だから(A.4)によりdeg(q)=n-deg(φ)
そこでψの係数をそのまま使ってψ[x]を作ると、
deg(ψ)=deg(ψ)=n-deg(φ)で、
再び定理A.1.14により、q=+tなるs,t[x] (deg(t)<deg(ψ))
一意に存在するが、deg(q)=deg(ψ)だからstは定数。
このときF=sφψ++rで、Fpを法として還元するとF=φψ
とならなければならないから、s≡1 (mod p)かつ、
+rの各項の係数がpを法として0に合同となる。
したがって、+r=-とおけるので、φψ=F+φ,ψ,χ[x]となる。

対偶を取って、条件を満たすφψ=F+なるφ,ψ,χ[x]が存在しないなら、
FFp上規約。

演習問題7
定理11.1.7によりGal(Fpν/Fp)=<Frobp>, o(Frobp)=νだから、
ifの分解体における一つの根なら、
命題6.1.4によりこの分解体での他の根は
Frobp(i), (Frobp)2(i), …, (Frobp)ν-1(i)すなわちip, ip2,…,  ipν-1である。

演習問題8
(a)
I,JRのイデアルだから、aR, rI, sJとすれば、arI, asJ
故にr+sI+Jならa(r+s)=ar+asI+JだからI+JRのイデアル。

r+JI =I/J (rI)なら、a+JR/J (aR)に対し(a+J)(r+J)=ar+JI
となるのでIR/Jのイデアル。

(b)
この写像をφ、またa,bR, A=a+(I+J) R/(I+J), B=b+(I+J) R/(I+J)とする。
φ(A+B)=φ(a+b+(I+J))=(a+b+J)+I=(a+J)+I +(b+J)+I=φ(A)+φ(B)
またφ(AB)=φ(ab+aI+aJ+bI+bJ+(I+J)(I+J))=φ(ab+(I+J))=(ab+J)+Iで、
φ(A)φ(B)=[(a+J)+I ][(b+J)+I]=[ab+(a+b)J+JJ]+(a+J)I+(b+J)I
=(ab+J)+(a+J)I+(b+J)Iだが、(a)によりIR/Jのイデアルだから、
(a+J)I+(b+J)I =Iなので、φ(A)φ(B)=(ab+J)+Iとなり、φ(AB)=φ(A)φ(B)
したがってφは環準同型。

φは明らかに全射。またφ(A)=(a+J)+I=0(R/J)/Iならa=0だから、
a+(I+J)=0R/(I+J)なので、Ker(φ)=0R/(I+J)となりφ11となり、故に同型。
したがってR/(I+J)(R/J)/I

演習問題9
(a)
この求値写像をφとすると命題2.1.2によりφは環準同型で、
明らかにIm(φ)=[α]だからφは全射。

αfの根で上既約だから、f[x]の元とみなせば
4.2.1(の対偶)により上既約。
故に命題4.1.5、、fα上の最小多項式で、
補題4.1.3によりg[x][x], g(α)=0ならgfの倍式、またfは単多項式。
したがって9.1節演習問題4により、
h[x]が一意に存在して[x]においてg=fhだからgf[x]
したがってKer(φ)=f[x]

よって定理A.1.9(環準同型の基本定理)によりφを用いて
[x]/f[x][α]の同型が矛盾なく定義される。

(b)
<p,f>=p[x]+f[x]だから演習問題8(b)において、
R=[x], I=p[x], J=f[x]とみれば[x]/<p,f>([x]/f[x])/p[x]
ただしp[x]={q+f[x]| qp[x]}=p[x]/f[x]
ここで(a)により[x]/f[x][α]
またf[x]αのの最小多項式だから、
補題4.1.13によりp[x]=p[x]/f[x]=p[α]
したがって[x]/<p,f>[α]/p[α]

(c)
(b)と異なる手順で、演習問題8(b)において、
R=[x], I=f[x], J=p[x]とみれば[x]/<p,f>([x]/p[x])/f[x]
ただしf[x]={r+p[x]| rf[x]}=f[x]/p[x]
ここで[x]/p[x]=Fp[x], f[x]/p[x]=<f>だから、
[x]/<p,f>Fp[x]/<f>

演習問題10
(a)
Maximaコマンド
f:2+2*x+2*x^2+2*x^3+2*x^4+2*x^5
+2*x^6+2*x^7+x^8+x^9+x^10;
gcd(f,x^(3^3)-x),modulus:3;
により
gcd(f,x33-x)=x3-x2+x+1だからF33におけるfの根の個数は3個。

同様にMaximaコマンド
gcd(f,x^(3^7)-x),modulus:3;
により
gcd(f,x37-x)=x7-x6-x5+x4-x3+x2-1だからF37におけるfの根の個数は7個。

(b)
fF3上の分解体をLとすると、
定理5.1.5によりF3Lは有限次拡大だから、
定理4.4.3によりLは有限体なので、
命題11.1.1によりL=Fpn, n=[L:F3]

Maximaで計算してgcd(f,f')=1だから命題5.3.2によりfは分離的。
またMaximaで計算してF3においてgcd(f,x33-x)gcd(f,x37-x)=fとなるので、
fの分解体Lにおいてfが完全分解した10個の異なる1次式は、
gcd(f,x33-x)3個、gcd(f,x37-x)7個割り振られている。
したがってF33, F37はともにLの部分体だから、
11.1.8により3|n,かつ7|nなのでlcm(3,7)=21|n
L=FpnF33, F37を含む最小の体だから、n=21
よってL=F321で、F33, F37の合成体F33F37である。

演習問題11
fは規約なので、fの根の1つをαとすると、
命題4.3.4により[Fp(α):Fp]=nで、
Fp(α)の任意の元はa0+a1α+...+ an-1αn-1 (a0, a1,..., an-1Fp)の形で一意に表される。
(a0, a1,..., an-1)の異なる選択はpn通りだから、|Fp(α)|=pnとなるので、
11.1.3によりFp(α)Fpn
定理11.1.7によりFpFpnGalois拡大だから正規拡大で、
fの根αを含むから、fFpn上完全分解する。

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