演習問題10
lの方程式はy=m(x-1/2)。
これをy=x, y=-x/2とそれぞれ連立させて、
(10.13)(10.14)を得る。
傾きが(10.15)の根となる4直線の概形は以下の通り。
ただし単位長を赤で描いてある。
演習問題11
演習問題10と同様に、印合わせから得られる直線lの方程式は、
lの傾きをmとしてy=m(x-1)+1/2。
これよりlとy=0の交点(x1,0), x1=1-1/(2m)、
およびlとy=xの交点(x2,x2),
x2=(2m-1)/[2(m-1)]を得る。
1=(x2-x1)2+x22で、x2-x1=(2m-1)/[2m(m-1)]だから、
(2m-1)2(m2+1)=4m2(m-1)2が得られる。
n=1/mとすると、(2-n)2(1+n2) =4(1-n)2
からn(n3-4n2+n+4)=0 (1)となり、n=0はこの根である。
この根はx軸に垂直な直線に対応する。
n≠0については、(1)によりmの方程式は
f(m)=4m3+m2-4m+1=0となる。
fはf’=12m2+2m-4とℚ[x]において素なので、命題5.3.2により分離的。
命題A.3.1によりfの根がℚの元ならm=±1, ±2, ±4のいずれかだが、
このどれもfの根ではないので、命題A.1.19によりfはℚ上規約。
故に、fの分解体をLとすれば
命題7.4.2によりGal(L/ℚ)≃S3またはGal(L/ℚ)≃ℤ/3ℤだが、
いずれにせよ3は|Gal(L/ℚ)|を割る。
定理7.1.1によりℚ⊂LはGalois拡大だから定理7.1.5により
|Gal(L/ℚ)|=[L:ℚ]なので、3|[L:ℚ]となり[L:ℚ]は2冪でないから、
定理10.1.12によりmは直定規とコンパスでは作図不能。
演習問題12
△QROにおいてQR=QO=1だから∠PRO=∠QOR。
これより∠OQP=∠PRO+∠QOR=2∠PRO (1)。
△OQPにおいてOQ=OP=1だから(1)により
∠OPQ=∠OQP=2∠PRO。
故に△OPRにおいてθ=∠PRO+∠OPQ=3∠PRO だから、
∠PRO=θ/3。
演習問題13
∠QOA=xとする。l1∥l2だから∠QRP=x。
QRの中点をMとし、Mを中心とした半径1/2の円Cを描くと、
∠QPR=π/2だからPはC上にある。
MP=1/2=OPだから、△POMは二等辺三角形なので∠PMO=∠POM=θ-x。
∠QRP=xは弧PQの上の円周角だから、
2∠QRP =2x=∠PMO=θ-x。これよりx=θ/3。
演習問題14
(a)
Rからx軸への垂線の足をSとし、∠ROS=φとする。
またPRの中点をTとする。
P,Rは単位円上の点だから△OPRは二等辺三角形なので、
OTはPRの垂直二等分線かつ∠PORの二等分線だから、
∠ROT=∠POT
(1)。また∠OTR=π/2。
Sのとり方から∠OSR=π/2。
すると△ORTと△ORSは共に直角三角形で、
斜辺ORは共通、R,Tの定義によりRT=PR/2=RSだから、
斜辺他一辺相等により△ORT≡△ORSなので、
対応する角∠ROT=∠ROS=φとなり、
(1)によりθ=∠POT+∠ROT+∠ROS=3φ。よってφ=θ/3。
(b)
C上の点Q(x,y)について、PQ=2yだから、
PQ2=(x-cosθ)2+(y-sinθ)2=4y2がCの方程式。
これより3[y+(sinθ)/3]2-(x-cosθ)2=(2sinθ)2/3となり、
中心が(cosθ, -(sinθ)/3)の双曲線の式を得る。
演習問題15
(a)
k≥8ではAB≥AC+BC=2となり△ABCは存在しないからである。
(b)
l2をx軸、Bを原点に取り、α2+(k/8)2=1とおく。
A(-k/4,0), B(0,0), C(-k/8,α), D(-3k/8,-α)である。
またR(r,0)とする(r=BR)。
Q(x,y)とすれば、x,yはCRの方程式y=-8α(x-r)/(8r+k)と、
BDの方程式y=8αx/3kを満たす。さらにQR2=(x-r)2+y2=1。
これらの方程式からx,yを消去して整理すると、
(r3-k)(4r+k)=0となり、実根はr=∛kとr=-k/4。
r=-k/4ならR=AだからQ=DとなりQ≠Dに反する。
よってr=BR=∛k。
(c)
k≥8が作図可能なら、0<2-3αk<8、
すなわち3α>3+log2kなるα∈ℕを用いて、kを3α回2等分し、
(b)によって2-α∛kを作図してから、α回2倍すればよい。
直定規により作図できる数は定理10.3.11により折り紙数だから、
この2等分・2倍の操作は常に可能。
演習問題16
(a)
Pとl1で定まる螺獅線の定義により明らか。
(b)
(a)により(10.18)のQは、Pとlで定まる螺獅線上の点だから、
この螺獅線と単位円Oの交点である。
(c)
図のQ1, Q2の極座標での角座標をθとすればPR sinθ=-b。
Q1(r,θ)とすればPR=r+1だからr=-b cscθ-1、
Q2(r,θ)とすればPR=r-1だからr=-b cscθ+1。
(d)
(c)によりr2[1+b/(rsinθ)]2=1
r sinθ=y, r2=x2+y2を用いて(x2+y2)(y+b)2=y2
(問題文の(x2+y2)(y-b)2=y2は誤植)。
演習問題17
(a)
蝸牛線の定義により(10.18)のQは、
円Oと点Pで定義される蝸牛線上の点だから、
蝸牛線と直線lの交点である。
(b)
PCと円CのPでない交点をSとするとS(2a,0)。
図のR1, R2の極座標での角座標をθとすればθ=∠QPS。
∠PQS=π/2だから、PQ=2acosθ。
R1(r,θ)とすればPQ=r+1だからr=-1+2acosθ、
R2(r,θ)とすればPQ=r-1だからr=1+2acosθ。
すなわち蝸牛線の方程式はr=±1+2acosθ
(問題文の1+2acosθは±1+2acosθの誤植)。
(c)
(b)の極方程式よりr2-2arcosθ=±rだから(r2-2arcosθ)2=r2。
r cosθ=x, r2=x2+y2を用いて(x2+y2-2ax)=x2+y2。
演習問題18
定理10.2.1の証明に従う。
10.1節演習問題2と同様に、正n角形が折り紙で作図できることは、
ζnが折り紙数であることと同値。
(8.6)によりζnのℚ上の最小多項式の分解体はℚ(ζn)で、
定理10.3.6によりζnが折り紙数であることは
[ℚ(ζn):ℚ]=2α3βとなる整数α,β≥0が存在することと同値。
n=2a3bp1...psとする。
ここでp1,...,psはPierpont素数で、1≤i≤sについて、
pi=2ki3li+1
(ki,li≥0)である。
b,l1,...,ls
が全て0ならnは2冪なので、
定理10.2.1によりζnは作図可能数だからζnは折り紙数。
したがってb,l1,...,lsのいずれかは1以上としてよい。
系9.1.10と補題9.1.1により
[ℚ(ζn):ℚ]=φ(n)=(2a-2a-1)(3b-3b-1)(p1-1)...(ps-1)
=2a3b-12k13l1...2ks3ls=2a+k1+...+ks3b-1+l1+...+lsだから、
α=a+k1+...+ks≥0, β=b-1+l1+...+ls≥0となるので、ζnは折り紙数。
逆にζnが折り紙数とすると、
定理10.3.6と系9.1.10により[ℚ(ζn):ℚ]=φ(n)=2α3βとなる整数α,β≥0が存在する。
nの素因数分解をn=q1a1…qrar (1≤i≤rについてai≥1)とする。補題9.1.1により
φ(n)=q1a1-1(q1-1)…qrar-1(qr-1)=2α3βとなるから、
ai≥2ならばqi=2または3でなければならず、
ai=1ならばqi-1=2ki3li(ki,li≥0は少なくとも一つは0でない)、
すなわちqi=2ki3li+1だからqiはPierpont素数でなければならない。
したがって、p1,...,psをPierpont素数としてn=2a3bp1...psの形である。
以上により、正n角形が折り紙で作図できることとn=2a3bp1...psは同値。
0 件のコメント :
コメントを投稿