34.6
(a)
α=a+bi√5, β=c+di√5 (a,b,c,d∈ℤ)とすると、
α±β=(a±c)+(b±d)i√5∈R, αβ=(ac-5bd)+(ad+bc)i√5∈RなのでRは環。
(b)
α=a+bi√5, β=c+di√5 (a,b,c,d∈ℤ)とすると、
1=αβ=(ac-5bd)+(ad+bc)i√5なので実部の式ac-5bd=1, 虚部の式 ad+bc=0。
abcd=0の場合、虚部の式とα≠0, β≠0よりa=0かつc=0、またはb=0かつd=0。
a=0かつc=0のときはac-5bd=-5bd=1だがb,d≥1だからこれは不可能。
b=0かつd=0のときはac-5bd= ac =1によりa=c =±1。
abcd≠0の場合、実部の式からc=(1+5bd)/a。
これを虚部の式に代入して、d(a2+5b2)=-bとなるが、|d|≥1, a2+5b2>|b|だからこれは不可能。
したがってabcd≠0となる場合はない。
以上により、Rの単数は±1のみである。
(c)
(3+2i√5)(a+bi√5)=85-11i√5を解いてa+bi√5=5-7i√5∈Rなので、
3+2i√5は85-11i√5を割る。
(d)
α=a+bi√5, β=c+di√5 (a,b,c,d∈ℤ)とし、2=αβ=(ac-5bd)+(ad+bc)i√5の解を
(b)と同様にして探すと、ac =2, b=0, d=0のみだから、2の約数は±1と±2だけである。
したがって2は素数。
(e)
ρ=ρ1+ρ2i√5とすると、N(ρ)=ρ12+5ρ22なので、0<N(ρ)<N(β)=6となるには、
(ρ1, ρ2)=( 1,0), (-1,0), (2,0), (-2,0), (0,1), (0,-1)しかない。
γ=γ1+γ2i√5として、α=βγ+ρの解はγ1=(-ρ1-5ρ2+21)/6, γ2=(ρ1-ρ2-9)/6なので、
上の(ρ1, ρ2)に対しそれぞれ、
(γ1, γ2)=(20/6,-8/6), (22/6, -10/6), (19/6, -7/6), (23/6, -11/6), (5/6, -10/6), (26/6, -8/6)
なので、γ∉Rだから、α=βγ+ρ, N(ρ)<N(β)を満たすγ,ρ∈Rの組は存在しない。
(f)
1+i√5=±2(a+bi√5)を満たすのはa=±1/2, b=±1/2の時で、±(1/2+i√5/2) ∉Rだから、
2は1+i√5を割らない。同様に2は1-i√5も割らない。
(g)
(d)と同様に3が素数であることは確かめられる。
ノルムの積法則が成り立つことは、α=a+bi√5, β=c+di√5 (a,b,c,d∈ℤ)として
直接計算によってN(αβ)= N(α) N(β)を確かめることで示せる。
また、N(u)=1となる必要十分条件はuが単数=±1であることを示すのも容易である。
N(1+ i√5)=6だから、1+i√5=αβとなる単数でも±(1+i√5)でもないα,βが存在すれば、
N(α)=a2+5b2=2または3となるが、このような(a,b)は存在しないから、
1+i√5は約数が単数と±(1+i√5)しかないので素数である。
同様に1-i√5も素数である。
したがって、6は2通りの素因数分解を持つので、Rにおいては素因数分解は一意でない。
(h)
9=32=(2+i√5)(2-i√5)において、
N(2+i√5)=9=32だから2+i√5=αβとなる単数でも±(2+i√5)でもないα,βが存在すれば、
α=a+bi√5 (a,b∈ℤ)としてN(α)=a2+5b2=3となるが、このような(a,b)は存在しないから、
2+i√5は約数が単数と±(2+i√5)しかないので素数である。同様に2-i√5も素数である。
したがって9も2通りの素因数分解を持つ。
(i)
...
34.7
A+Biの分解において各素因数は正規化されているものとしてよい。
u, x1,x2,...xrのいずれかが同じでない2つの積に対し、同じA,Bの値が与えられるとしたら、
A+Biは二通りの分解を持つことになるので、定理34.1に矛盾する。
34.8
(a)
2925=32·52·13より、2925の約数は
1, 3, 5, 9, 13, 15, 25, 39, 45, 65, 75, 117, 195, 225, 325, 585, 975, 2925。
(b)
4を法として1に合同な約数:1, 5, 9, 13, 25, 45, 65, 117, 225, 325, 585, 2925
4を法として3に合同な約数:3, 15, 39, 75, 195, 975
これよりD1=12, D3=6。
(c)
R(2925)=24
(d)
本質的には2925=32+542=182+512=302+452の3通り。和の順序を変える2通りの仕方と、
さらに各整数の符号を変える4通りの仕方があるから、全部で3·2·4=24通りとなって、
(c)のR(2925)と一致する。
34.9
定理34.6のD1- D3の式の係数4は誤植で、f1...fsが全て偶数の時、
D1- D3=(e1+1)(e2+1)...(er+1)が正しい。
(a)
327026700=22·33·52·7·112·13より、4を法として1に合同な約数は、52·13の約数、
およびそのそれぞれに4を法として3に合同な素因数偶数個の積をかけたものである。
52·13の約数は(2+1)(1+1)=6つ。
4を法として3に合同な素因数については、
33·7·112から0個の素因数を取り出す仕方は1通り、
2個の素因数を取り出す仕方は5通り、
4個取り出す仕方は5通り、6個取り出す仕方は1通りだから、
D1=6(1+5+5+1)=72。
一方、4を法として3に合同な約数は、4を法として1に合同な約数と、
4を法として3に合同な約数一つの積全てである。
つまり、33·7·112だけから作る約数の数(3+1)(1+1)(2+1)=24通りから、
上で計算した4を法として1に合同となる12通りを除いて、
52·13の約数6つをそれぞれにかければ良い。したがって
D3=6(24-12)=72。
したがってD1- D3=0。
一方、定理34.6において、4を法として3に合同な素因数の冪に奇数冪があるから、
D1- D3=0となるので一致する。
(b)
484438500=22·32·53·72·133より、4を法として1に合同な約数は、53·133の約数、
およびそのそれぞれに4を法として3に合同な素因数偶数個の積をかけたものである。
53·133の約数は(3+1)(3+1)=16個。
4を法として3に合同な素因数の積32·72から0個の素因数を取り出す仕方は1通り、
2個取り出す仕方は3通り、4個取り出す仕方は1通りだから、
D1=16(1+3+1)=80。
一方、4を法として3に合同な約数は、4を法として1に合同な約数と、
4を法として3に合同な約数一つの積全てである。
つまり、32·72だけから作る約数の数(2+1)(2+1)=9通りから、
上で計算した4を法として1に合同となる5通りを除き、
53·133の約数16個をそれぞれにかければ良い。したがって
D3=16(9-5)=64。
したがってD1- D3=16。
一方、定理34.6において、4を法として3に合同な素因数の冪は偶数冪だけなので、
D1- D3=(3+1)(3+1)=16となるので一致する。
2つの平方数の和への表し方は、2=12+12、5=12+22と13=22+32を用い、
2, 5,13の冪が偶数冪になるようにする。R(48443850)=4(D1- D3)=64だが、
このうち各々の平方される数の符号と和の順序の自由度で8通りあるから、
実質的には64/8=8通り。例えば
484438500=(2·3·5·7·13)2(12+22)(22+32)= (2·3·5·7·13)2(82+12)=218402+27302
484438500=(2·3·5·7·13)2(12+22)3 (22+32)=(2·3·5·7·13)2(72+42)=191102+109202
484438500=(2·3·7·13)2(12+22)3 (22+32)=(2·3·7·13)2(292+282)=158342+152882
484438500=(2·3·5·7)2(12+22)(22+32)3=(2·3·5·7)2(1012+282)=212102+58802
など。
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