2010-12-23

シルヴァーマン 「はじめての数論」第3版 第35章練習問題2

35.9
(a)
g(X)=X3+αX2+(α2-10) X+α(α2-10)
なおα4-10α2+1=0よりα2-10=-1/α2=-(√3-√2)2なので、
g(X)=X3+(√2+√3)X2-(√3-√2)2 X-(√3-√2)とも書ける。

(b)
α>0, 10-α2>0なので、a/b-α|a/b-α|≤1よりa/b≤1+αだから、(a)より
|g(a/b)|≤(1+α)3+α(1+α)2+(10-α2)(1+α)2+α(10-α2)= α2+24α+11=K
なお、K96.41<96.42

(c)
1/b4≤|a/b-α||g(a/b)|K/b5よりbK<97
このbに対し、|a/b-α|≤1/b5を満たすのはa=4, b=1, a/b=4のみ。

(d)
a=4, b=1, a/b=4のみ。
やってみると、実は1/b4にしてもa=4, b=1, a/b=4のみしか見つからない。
ていうか、1/b4はとても厳しい制限で、満たすものがありそうな気がしない。
定理35.2Liouvilleの不等式を精密化したThue-Siegel-Rothの定理により、
実は定理35.2D2だからだろう。

35.10
(a)
k≥3についてはk=10の時の10進表示をk進表示に置き換えるだけで、
全く同様に証明できる。
k=2についても、定理35.3の証明で10進の代わりに2進展開の式にして、
証明の中で0<β-rN<1/10N!に置き換えるだけで、ほぼ同様に証明できる。

(b)
補題35.3の証明と同様に、rN=Σ1n N  1/10nn=aN/bNとすると、bN=10NNで、
0<β2-rN=Σn N +1  1/10nn<2/10(N+1)N+1<2/10NN+1+(N+1)NN<1/(10NN)N+1=1/bNN+1<1/bND (ND)
なので、全てのDに対し、NDになるNを用いて
rN=aN/bN|a/b-β2|≤1/bDに対する無数の解を与える。
したがってβ2Liouvilleの不等式を満たさないから超越数。


35.11
(a)
補題35.3の方法では、|β2-rN|=Σn N +1 1/n!に対する適当なk進表示の不等式を導けない。

(b)
...

(c)
補題35.3と同様にやると、rN=Σ1n N  1/1010n=aN/bNbN=1010N に対し、
|β2-rN|=Σn N +1 1/1010n<2/1010N+1=2/1010·1/1010N<1/1010N<1/bN
となり、bN Dとの関係がよくわからないので超越性は証明できない。

(d)
(c)と同様に、|β2-rN|=Σn N +1 1/1010n<2/1010N+1
さらに、2/1010N+1=1/1010N·10-log102<1/1010N·9=1/bN9
つまり0<ε<1, D=9+εとして|β2-rN|1/bNDが無数のNについて満たされるので、
定理35.2の対偶「Liouvilleの不等式を満たす有理数があるDについて無限個あれば、
αの満たす整数係数多項式の次数dD」から、dD=9+ε>9となる。


35.12
(a)
(暗黙の前提として整数a,b,r,sはすべて正ととっている模様。
まあそれで一般性は失わないからいいか。)
|a/b-α|=|as-br|/sb<1/sbより1>|as-br|=0。したがってa/b=r/s=αだけである。

(b)
|a/b-α|=|as-br|/sb=1/sbより、|as-br|=1
gcd(r,s)=1だから、xs+yr=1の整数解が無数にあるので、a=x, b=-yととれば良い。

35.13
(a)
√10を根に持つ整数係数多項式はf(x)=x2-10=(x-√10)(x+√10)である。
a,b, b0として、|f(a/b)|=|(a/b)2-10|=|a2-10b2|/b2≥1/b2である。
|a/b-√10|の下限を押さえるには、a/b√10に極めて近い時、
すなわち√10Diophantus近似について考えれば十分で、
DirichletDiophantus近似定理(定理31.1)を満たすa/b
を考えればよい。|a/b|√10+1/b2√10+1だから、
|f(a/b)|=|a/b+√10||a/b-√10|≤(2√10+1) |a/b-√10|<8|a/b-√10|
以上により、1/b2<8|a/b-√10|よって1/8b2<|a/b-√10|

(b)
定理35.2においてd=2なので、|a/b-√10|1/b3となるa/bは有限個しかなく、
(a)により1/8b2<1/b3だからb<8。これらを満たすa/b3/1, 4/1, 19/6だけである。

35.14
(a)
練習問題35.13(a)と同様にして、K=1/2√N+1を得る。ただし⌈⌉は天井関数
xx以上の最小の整数。Nは平方数でないので、2√N+1>2√N+1である。)。
K/b2<|a/b-√10|1/bα (α>2)なら、b<K1/(2-α)である。

(b)
(i) (a)N=7, α=3とするとb<7a/b=2/1, 3/1, 8/3
(ii) (a)N=5, α=8/3とするとb<14.7a/b=2/1, 3/1, 9/4

(c)
(i) a/b=23/1, 24/1, 383/16
(ii) a/b=4/1, 5/1, 9/2, 13/3, 170/39
(iii) b<[8(2√6+1)]1/0.3~379802a/b=2/1, 3/1, 5/2, 22/9, 49/20, 485/198


35.15
(a) 代数的数1/√2
(b) Gel'fond–Schneiderの定理により超越数。
(c) 代数的数1
(d) 不明
(e) 不明
(f) 不明
(g) 代数的数(1+√5)/4
(h) 21/√2で、Gel'fond–Schneiderの定理により超越数。


35.16
(a)
非負整数が整列集合でないと仮定すると、a0> a1> a2>...> an>...>0となる、
非負整数の有界な無限降下列anが存在する。Bolzano–Weierstrassの定理により、
収束部分列bnが存在して、bnCauchy列となるから、
十分大きな自然数Nに対し0<bN -bN+1<1である。bN bN+1は非負整数で、
非負整数の差は整数だから、0<b<1となる非負整数bが存在することになるが、
そのような非負整数は存在しないので矛盾。したがって、非負整数は整列集合である。

(b)
an=1/2nとして{an}は最小元を持たない。

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