2011-06-01

コックス「ガロワ理論」 4.3節の演習問題


演習問題1
fは既約とは限らないので、命題3.1.1によりfは最小多項式とは限らず、
命題4.3.4αの累乗は基底を張るとは限らない)
g1,g2F[x]F[x]/<f>の同じ剰余類に属するとすると、
deg(f)=nと定理A.1.14によりq1,r1,q2,r2F[x]が一意に存在して
g1=fq1+r1, deg(r1)<n, g2=fq2+r2, deg(r2)<nで、g1-g2<f>である。
g1-g2=f(q1-q2)+r1-r2において、deg(r1-r2)<nだから、
r1-r2=fhとなるhF[x]は零多項式だけである。したがってr1=r2
逆にr1=r2なら、g1-g2<f>だから、g1,g2F[x]F[x]/<f>の同じ剰余類に属する。
そこで、r1r=a0+a1x+...+an-1xn-1と書いて、
F[x]/<f>g1,g2の属する剰余類の代表元とできる。

異なる剰余類の代表元r=a0+a1x+...+an-1xn-1, s=b0+b1x+...+bn-1xn-1に対し、
t=r-sは零多項式でないから、
a0-b0, a1-b1,..., an-1-bn-1の少なくとも一つは0でない。
したがって、a0,a1,...,an-1の組は剰余類ごとに一意に定まる。

演習問題2・演習問題3
(a)
Schönemann-Eisenstein判定法(定理4.2.3)においてp=2とおくことにより、
上でx4-2は既約なので、命題4.1.5によりx4-22上の最小多項式となるから、
命題4.3.4により[(2):]=4
(2) だから、x2+1(2)上で根を持たないので、
補題A.1.19・命題4.1.5によりx2+1i(2)上の最小多項式となり、
[(i,2):(2)]=2
したがって塔定理(定理4.3.8)により[(i,2):]=[(i,2):(2)][(2):]=8
基底は1, 2,2, 23/4, i, i2, i2, 23/4i
(例4.1.10で例えばiを、x4-242, -2, i2, -i2
係数線形和として表すことはできない。
(2, -2, i2, -i2)=(i,2)であることと、
(i,2)のベクトル空間としての性質とは話が別。)

(b)
x2-3上で根を持たないので、補題A.1.19によりx2-33上の最小多項式だから、
命題4.3.4により[(√3):]=2

3は代数的数だから、命題4.3.4により(√3)の元はa+b3 (a,b)と一意に表される。
もしx3-2(√3)に根を持てば、(a+b3)3-2=0よりa3+9ab2-2=0 かつ3b(a2+b2)=0
第二式よりb=0だからa3-2=0の根aが存在することになるがこれは不可能。
したがってx3-2(√3) 上で解を持たないから、補題A.1.19によりx3-2(√3) 上既約。
命題4.3.4により[(√3, 2):(√3)]=3
よって塔定理(定理4.3.8)により[(√3, 2):]= [(√3, 2):(√3)][(√3):]=6
基底は1, √3, 2, 22/3, 32, 22/33

(c)
Schönemann-Eisenstein判定法(定理4.2.3)においてp=2とおくことにより、
√(2+√2)の満たす式x4-4x2+2上で既約なので、
命題4.1.5によりx4-4x2+2√(2+√2)上の最小多項式となるから、
命題4.3.4により[(√(2+√2)):]=4
基底は1, √(2+√2), √2, √2√(2+√2)

(d)
(√(2+√2)) だから、x2+1(√(2+√2))上で根を持たないので、
補題A.1.19・命題4.1.5によりx2+1i(√(2+√2))上の最小多項式となり、
[(i,√(2+√2)):(√(2+√2))]=2
したがって(c)と塔定理(定理4.3.8)により、
[(i,√(2+√2)):]=[(i,√(2+√2)):(√(2+√2))][(√(2+√2)):]=8
(c)の結果から基底は1, √(2+√2), √2, √2√(2+√2), i, i√(2+√2), i√2, i√2√(2+√2)

演習問題4
[L:F]は有限だから、拡大FKLなる体Kが存在したとすると、
定理4.3.8により[K:F]<∞, [L:K]<∞[L:F]=[L:K][K:F]
[L:F]は素数だから、以下の2つの場合しかない。
(i) [L:K]=1, [K:F]=[L:F]
(ii) [K:F]=1, [L:K]=[L:F]
(i)の場合補題4.3.3によりK=L(ii)の場合補題4.3.3によりK=Fだから、
Fを含むLの部分体はFLのみである。

演習問題5
(a)
Schönemann-Eisenstein判定法(定理4.2.3)においてp=2とおくことにより、
x4-2は既約。またp=3とおくことにより、x3-3は既約。

(b)
2上代数的で、(a)と命題4.1.5によりx4-2上の最小多項式だから、
[(2):]=4
3x3-3(2)[x]の根なので、3(2)上代数的。
命題4.3.4により[L:(2)]<∞なので、定理4.3.8(塔定理)により
[L:]=[L:(2)][(2):]=4[L:(2)]。したがって4|[L:]
3(2)上代数的だから補題4.1.3により最小多項式p(2)[x]と、
q(2)[x]が存在してpq=x3-3, p(3)=0となる。
したがって命題4.3.4により[L:(2)]=deg(p)≤3となるから[L:]=4[L:(2)]≤12

まあx3-3(2)上に解を持たないことは容易に確かめられるから、
補題A.1.19によりx3-3(2)上の3の最小多項式なので、
[L:(2)]=3ではあるが、それは使わず一般的にやれという問題だな。

(c)
(b)と同様にして、[L:]=3[L:(3)]だから3|[L:]

(d)
4|[L:]かつ3|[L:]だから、[L:]LCM(3,4)=12
(b)により[L:]≤12だから、[L:]=12
34が互いに素だから、最小公倍数は互いの積になるので、
塔定理と同じ形になる。

演習問題6
αF上の最小多項式がfF[x]なので、命題4.3.4により[F(α):F]=deg(f)<∞
同様に [F(β):F]=deg(g)<∞。また明らかにdeg(f)>0, deg(g)>0
さらに、f,gF上の最小多項式だから定義4.1.4により単多項式である。

拡大FF(α)F(α,β)においてgF[x]F(α)[x], g(β)=0だから、
βF(α)上代数的なので、定理4.3.4により[F(α,β):F(α)]<∞
さらに定理4.3.8(塔定理)により[F(α β):F]=[F(α,β):F(α)][F(α):F]=deg(f)[F(α,β):F(α)]
同様に、αF(β)上代数的なので[F(α,β):F]=deg(g)[F(α,β):F(β)]
したがってdeg(f)[F(α,β):F(α)]=deg(g)[F(α,β):F(β)] (1)である。

fF(β)上既約なら、命題4.1.5によりfF(β)上のαの最小多項式だから、
命題4.3.4により[F(α,β):F(β)]=deg(f)(1)に代入して[F(α,β):F(α)]=deg(g)となる。
いまhF(α)[x]βF(α)上の最小多項式とすると、
g(β)=0だから補題4.1.3によりuF(α)[x]が存在してg=uh
ところがh βF(α)上の最小多項式だからF(α)上既約で、
命題4.3.4によりdeg(h)=[F(α,β):F(α)]。故にdeg(h)=deg(g)
F(α)は体なので整域だから、
deg(g)=deg(h)=deg(g)+deg(u)よりdeg(u)=0でなければならない。
したがってuは単数で、ghも単多項式だからu=1
したがってg=hなのでgF(α)上既約。

逆も同様にして示される。

演習問題7
(a)
あるi≥1に対し[Li-1:L0]<∞, [Li:Li-1]=∞とすると、
定理4.3.8(塔定理)(a)により[Li:L0]=∞

このとき[Li+1:L0]については、
拡大L0LiLi+1を考えれば[Li:L0]=∞と定理4.3.8(塔定理)(a)から、
[Li+1:L0]=∞である。したがって[Lm:L0]=∞

(b)
すべてのi≥1に対し[Li:Li-1]<∞とする。
i=1については補題4.3.3により[Li-1:L0]=[L0:L0]=1<∞
[Li:L0]<∞とすると、仮定により[Li+1:Li]<∞だから、
定理4.3.8(塔定理)(b)から[Li+1:L0]=[Li+1:Li][Li:L0]<∞

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