演習問題9
(b)⇒(a):
特に書いていないがa≠b, ab≠0としないと成り立たない。
Fの標数は2でないから、これは可能。
f=(x2-a)(x2-b)とすると、fは分離的である。
Lはfの分解体だから、定理7.1.1によりF⊂LはGalois拡大。
a,bの最小多項式はそれぞれx2-a, x2-bなので、
Gal(L/F)は±√aを入れ替える互換と、±√bを入れ替える互換の、
二つの独立な置換から生成されるから、Gal(L/F)≃ℤ/2ℤ×ℤ/2ℤ。
(a)⇒(b):
Gal(L/F)≃ℤ/2ℤ×ℤ/2ℤでF⊂LはGalois拡大なので、
定理7.1.1によりF上の分離多項式fが存在してLはfの分解体である。
また定理7.1.5により[L:F]=|Gal(L/F)|=deg(f)=4。
fは単多項式としても一般性を失わない。
fの異なる4根のうち2根ずつの独立な互換をσ,τとすれば、
Gal(L/F)={e,σ,τ,στ}。部分群は<σ>,<τ>でいずれもGal(L/F)の正規部分群だから、
<σ>,<τ>の固定体をそれぞれL<σ>, L<τ>とすれば定理7.3.2により
F⊂L<σ>, F⊂L<τ>はGalois拡大。
故に定理7.1.5により[L<σ>:F]=|<σ>|=2,[L<τ>:F]=|<τ>|=2だから、
F上の最小多項式が2次である、fの根α1,α2∈L<τ>∖F, β1,β2∈L<σ>∖Fが存在して全て異なり、
7.1節演習問題12(d)によりα12=α22=a∈F, β12=β22=b∈Fとしてよい。
すなわちα1,α2の最小多項式はp=x2-a、β1,β2の最小多項式はq=x2-bとなり、
命題4.1.3によりfはp,qの倍式でdeg(f)=4だからf=pq=(x2-a)(x2-b)。
演習問題10
(a)⇒(b): ℚ(β)をℚ上のベクトル空間と見れば、
βは次数2の代数的元だから、α∈ℚ(β)∖ℚは命題4.3.4により、
α=a+bβ (a,b∈ℚ, b≠0)とかける。
(b)⇒(c): (b)よりα+β=a+(b+1)βである。
b=-1ならα+β=a∈ℚはℚ[x]の1次式の根。
b≠-1とすれば、β=(α+β-a)/((b+1)。
これをβが根となる2次式に代入すれば、
α+βが根となる、α+βについての2次式が得られる。
(c)⇒(a):
ℚ(α)≠ℚ(β)と仮定する。拡大ℚ(α)⊂ℚ(α,β), ℚ(β)⊂ℚ(α,β)を考えれば、
α+β∈ℚ(α,β)。ℚ⊂ℚ(α), ℚ⊂ℚ(β)は2次の代数拡大だから[ℚ(α,β):ℚ]≤4。
また、[ℚ(α):ℚ]=[ℚ(β):ℚ]=2|[ℚ(α,β):ℚ]なので、[ℚ(α,β):ℚ]=2または4。
ℚ(α,β)=2なら[ℚ(α,β):ℚ(α)]=1なので補題4.3.3によりℚ(α,β)=ℚ(α)だから
ℚ(α)=ℚ(β)となって仮定に反するので、[ℚ(α,β):ℚ]=4。
α,βの最小多項式は2次だから、命題6.3.7によりGal(ℚ(α,β)/ℚ)は可移でなく、
αの最小多項式pの2根同士の互換σと、βの最小多項式qの2根同士の互換τの、
2つの独立な互換から生成されるので、Gal(ℚ(α,β)/ℚ)={e,σ,τ,στ}≃ℤ/2ℤ×ℤ/2ℤ。
|Gal(ℚ(α,β)/ℚ)|=4=[ℚ(α,β):ℚ]だから、定理7.1.5によりℚ⊂ℚ(α,β)はGalois拡大。
Gal(ℚ(α,β)/ℚ)の位数2の部分群は<σ>と<τ>のみで正規部分群。
対応する固定体はそれぞれℚ(β),ℚ(α)である。
ℚ⊂ℚ(α+β)は仮定により2次だから、定理7.3.1により、
Gal(ℚ(α,β)/ℚ(α+β))はGal(ℚ(α,β)/ℚ)の位数2の部分群。
α+βは<σ>と<τ>の作用に対し不変でないから、
Gal(ℚ(α,β)/ℚ)が<σ>,<τ>以外の位数2の部分群を持たなければならないが、
そのような群は存在しないので矛盾。
したがってℚ(α)=ℚ(β)。
演習問題11
Gal(L/K)はNの正規部分群なので、定理7.3.2によりLN⊂KはGalois拡大。
7.2節演習問題8により、NはGal(L/K)を正規部分群に含む、
最大のGal(L/F)の部分群。これよりGal(L/K)を正規部分群に含む、
任意のGal(L/F)の部分群Mに対し、M⊂Nとなるから、
定理7.3.2により、LM⊂KはGalois拡大で、LN⊂LM⊂K。
したがってLNはKがその部分体上Galoisになる最小のKの部分体。
演習問題12
(a)
Nの定義により任意のn1∈Nとg1∈Gに対し、
h1∈Hが(一般に一意でないが)存在してn1=g1h1g1-1。
n1-1=g1h1-1g1-1∈Nだから、Nの任意の元に対しその逆元もNの元。
任意のn2∈Nをとれば、あるh2∈Hが存在してn2=g1h2g1-1だから、
n1n2=g1h1h2g1-1∈N。したがってNはGの部分群。
任意のg∈Gについて、gn1g-1=(gg1)h1(gg1)-1∈Nなので、N⊴G。
(b)
N=⋂G gHg-1⊂eHe-1=HなのでNはHに含まれる。
いまM⊂H, M⊴Gとすると、任意のm∈M, g∈Gに対し
gmg-1∈MだからM=⋂G gMg-1⊂⋂G gHg-1=N。
したがってNはHに含まれる最大の正規部分群。
演習問題13
演習問題12のようにN=⋂g∈Gal(L/F) gGal(L/K)g-1⊂Gal(L/K)とする。
演習問題12によりN⊂Gal(L/K), N⊴Gal(L/F)。
F⊂LはGaloisだから定理7.3.2によりF⊂K⊂LN⊂Lで、LNもF上Galois。
したがってF⊂LNは定理7.1.7(a)を満たす。
F⊂LNが定理7.1.7(b)も満たすことを示す。
F上Galoisとなるような、Kを含む任意の拡大について、
そのGalois群をM,、対応する固定体をLMとする。
すなわちF⊂LMはGaloisで、定理7.3.2によりM⊂Gal(L/K), M⊴Gal(L/F)。
演習問題12によりM⊂Nだから、定理7.3.2によりK⊂LN⊂LM。
LM上の恒等写像をLNに制限した写像をφ: LN→LMとすれば、
φはK上恒等となる体の準同型となる。
したがってF⊂LNは定理7.1.7(b)も満たすので、LNはKのGalois閉包である。
演習問題14
6.2節演習問題4により、Gal(ℚ(ζn)/ℚ)≃(ℤ/nℤ)*だから、Gal(ℚ(ζn)/ℚ)はAbel群。
6.2節演習問題4(a)により円分体ℚ(ζn)は、
ℚ上の分離多項式である円分多項式Φnの分解体で、
6.2節演習問題4(e)によりℚ⊂ℚ(ζn)は有限次拡大だから、
定理7.1.1によりℚ⊂ℚ(ζn)はGalois拡大。
定理7.3.2によりGal(L/ℚ) はGal(ℚ(ζn)/ℚ)の部分群だからAbel群である。
さらにGal(ℚ(ζn)/ℚ)はAbel群だからGal(L/ℚ)⊴Gal(ℚ(ζn)/ℚ)なので、
定理7.3.2によりℚ⊂LはGalois拡大、したがって定理7.1.1により正規。
演習問題15
(a)
6.4節Aの議論から、σ1,b(ζp)=ζp, σ1,b(p√2)=ζpb p√2だから、LT'=ℚ(ζp)。
(b)
σa,0(ζp)=ζpa, σa,0(p√2)=p√2により、固定体はℚ(p√2)。
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