演習問題8
(a)
(h1,g1), (h2,g2), (h3,g3)∈H⋊Gとする。G,Hの単位元をeG,eHとすると、
h1→g1·h1は群準同型だからg1·eH= eH。
これより(h1,g1)·(eH,eG)=(h1,g1)で、(eH,eG)は単位元となる。
明らかにこの単位元は一意。
(h1,g1)·(h2,g2)=(eH,eG)なら、h1(g1·h2)=eH, g2=g1-1で、
この第1式からはg1·h2=h1-1。g1·h2は作用だから両辺にg1-1を作用させれば、
定義A.4.1によりg1-1·h1-1=g1-1(g1·h2)=(g1-1g1)·h2=h2
なので、(g1-1·h1-1,g1-1)は(h1,g1)の右逆元。
(h2,g2)·(h1,g1)=(eH,eG)なら、h2(g2·h1)=eH, g2= g1-1で、
この第1式からはh2=(g1-1·h1) -1=g1-1·h1-1
となるので、左逆元は右逆元に等しい。
以上により(h1,g1)に対し逆元(g1-1·h1-1,g1-1)が一意に定まる。
(h1,g1)·((h2,g2)·(h3,g3))=(h1,g1)·(h2(g2·h3),g2g3)=(h1{g1·[h2(g2·h3)]}, g1g2g3)
=(h1(g1·h2)(g1g2·h3),g1g2g3)
((h1,g1)·(h2,g2))·(h3,g3)=(h1(g1·h2),g1g2)·(h3,g3)=(h1(g1·h2)(g1g2·h3),g1g2g3)
となるので、(h1,g1)·((h2,g2)·(h3,g3))=((h1,g1)·(h2,g2))·(h3,g3)
と結合律を満たす。
以上によりH⋊Gは(6.9)の演算に関して群。
(b)
φ: H⋊G→G ((h,g)→g)は明らかに全射群準同型だからIm(φ)=G。
φ(h,g)=eGなら、g=eGなので、Ker(φ)=H×{eG}。
(c)
ψ: H→H×{eG} (h→(h,eG))は明らかに全射。
またψ(h)=(h,eG)=(eH,eG)なら、h=eHだからKer(ψ)={eH}なのでψは1対1。
g∈G, h∈Hとしてg·(eG·h)= g·hだから両辺にg1-1を作用させれば、
eG·h=hなので、h1,h2∈Hとして
ψ(h1h2)=(h1h2,eG)=(h1(eG·h2),eG)=ψ(h1)ψ(h2)だから、ψは群準同型。
したがってψは群同型だからH≃H×{eG}。
(b)(c)と定理A.1.3(群準同型の基本定理)により、
(H⋊G)/(H×{eG})≃(H⋊G)/H≃Im(φ)=G。
演習問題9
演習問題2(a)によりφ: AGL(1,Fp)→Fp* (γa,b→a)について
Ker(φ)=Tで、演習問題2(b)と演習問題9(b)によりT≃Fp≃Fp×{1}だから、
(6.10)はFp*≃(Fp⋊Fp*)/(Fp×{1})≃(Fp⋊Fp*)/T。
演習問題10
(a)
Fp は加法群として、Fp*は乗法群としてAbel群である。
(h1,g1), (h2,g2)∈Fp⋊Fp*とすると、
(h1,g1)·(h2,g2)=(h1(g1·h2),g1g2)
(h2,g2)·(h1,g1)=(h2(g2·h1),g1g2)である。
p≥3よりg1,g2∈Fp*の少なくとも一つは1でない値をとることができるので、
一般に(h1,g1)·(h2,g2)≠(h2,g2)·(h1,g1)となりAbel群でない。
(b)
(h1,g1), (h2,g2)∈Fp×Fp*とすると、
(h1,g1)(h2,g2)=(h1h2,g1g2)=(h2,g2)(h1,g1)なのでAbel群。
(c)
Fp×{1}={(h,1)|h∈Fp}とすると、Fp×{1}はFp×Fp*の部分群で、
Fp×Fp*は(b)によりAbel群だから、Fp×{1}はFp×Fp*の正規部分群。
写像φ: Fp×{1}→Fp ((h,1)→h)は明らかに1対1の全射で、
積を保つから準同型。故にφは同型なのでFp×{1}≃Fp。
(Fp×Fp*)/(Fp×{1})≃(Fp×Fp*)/Fp≃Fp*なので、
Fp×Fp*はFpのFp*による拡大である。
演習問題11
TはG≃AGL(1,Fp)の部分群で、Abel群だからGの正規部分群。
演習問題2(b)によりT≃Fpだから、
加法群として位数pの巡回群である。
演習問題2によりG/T≃Fp*で、命題A.5.3よりFp*は巡回群となる。
したがって、Gはメタ巡回的である。
演習問題12
演習問題6(a)と同様である:
o(g)=pとなるg∈Spについて、p224の対称群の性質から、
互いに共通の文字を持たない巡回置換c1,...,crを用いて
g=c1...cr, o(g)=LCM(o(c1),...,o(cr))だが、pは素数なので、
g=c1, o(c1)=pしかありえない。
演習問題13
Schönemann-Eisenstein判定法(定理4.2.3)においてp=5とおくことにより、
2x5-10x+5はℚ上既約で命題5.3.7により分離的。
したがってGal(L/ℚ)はすべての根の集合に対し可移だから、
6.3節演習問題7により|Gal(L/ℚ)|は素数5の倍数となる。
定理A.1.5によりo(σ)=5となるσ∈Gal(L/ℚ)が存在するので、
演習問題12によりσは5次巡回置換。
下のグラフにより、2x5-10x+5は異なる実根を3つ、
共軛な複素数根を2つもつので、
複素数根同士の互換をτとしてτ∈Gal(L/ℚ)。
したがって演習問題7によりGal(L/ℚ)≃S5。
演習問題14
p√2ζp/ p√2=ζp∈ℚ(p√2, p√2ζp)によりL⊂ℚ(p√2, p√2ζp)、
p√2ζp∈Lによりℚ(p√2, p√2ζp)⊂Lなので、
L =ℚ(p√2, p√2ζp)。他の根はp√2ζpi=(p√2ζp)i/(p√2)i-1(2≤i≤p-1)で生成される。
演習問題15
[L:ℚ]=p(p-1)で、ζpは命題4.2.5によりℚ上既約なp次円分多項式Φpの根だから、
[ℚ(ζp):ℚ]=p-1。したがって定理4.3.8(塔定理)により[L:ℚ(ζp)]=p。
演習問題14によりL=ℚ(p√2, p√2ζp)=ℚ(ζp, p√2)は、
分離多項式xp-2∈ℚ(ζp)[x]の分解体だから、|Gal(L/ℚ(ζp))|=[L:ℚ(ζp)]=p。
Gal(L/ℚ(ζp))は素数位数だから、単位元でない元gが存在して、
位数o(g)の巡回群<g>を部分群に持つ。
定理A.1.1(Lagrangeの定理)により|<g>|=o(g)は|Gal(L/ℚ(ζp))|を割り、
o(g)≠1だから|<g>|=pとなるので、Gal(L/ℚ(ζp))=<g>≃Cp。
Cp⊂Spはp個の根をすべて巡回的に入れ替える置換の群だから、可移である。
以上によりxp-2∈ℚ(ζp)[x]の分解体Lについて、
Gal(L/ℚ(ζp))と同型なSpの部分群Cpが可移となるので、
命題6.3.7によりxp-2はℚ(ζp)上既約である。
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