演習問題8
(a)
定理A.2.1によりℂにおいてfのすべての根はn√2,n√2ζn,..., n√2(ζn)n-1。
ζn=n√2ζn/n√2で、n√2とζnの有理式でfの根は全て表現できるから、
ℚ(n√2,n√2ζn,..., n√2(ζn)n-1)=ℚ(n√2,ζn)なので、fのℚ上の分解体はℚ(n√2,ζn)。
(b)
fはℚ上既約だから、命題4.1.5, 命題4.3.4により、[ℚ(n√2):ℚ]=n。
ζnは ℚ(n√2)上のn-1次多項式の根だから、
補題4.1.3により[ℚ(n√2,ζn):ℚ(n√2)]≤n-1。定理4.3.8(塔定理)により
[ℚ(n√2,ζn):ℚ]=[ℚ(n√2,ζn):ℚ(n√2)][ℚ(n√2):ℚ]=[ℚ(n√2,ζn):ℚ(n√2)]だから、
n|[ℚ(n√2,ζn):ℚ]かつ[ℚ(n√2,ζn):ℚ]≤n(n-1)である。
ζnはn次円分多項式Φn∈ℚ[x]の根で、
nは素数なので命題4.2.5によりΦnはℚ上既約だから[ℚ(ζn):ℚ]=n-1。
上と同様にn-1|[ℚ(n√2,ζn):ℚ]である。
n|[ℚ(n√2,ζn):ℚ]かつ n-1|[ℚ(n√2,ζn):ℚ]で、gcd(n,n-1)=1 (n∈ℕ)だから、
LCM(n,n-1)=n(n-1)|[ℚ(n√2,ζn):ℚ]より[ℚ(n√2,ζn):ℚ]≥n(n-1)。
[ℚ(n√2,ζn):ℚ]≤n(n-1)だったから、[ℚ(n√2,ζn):ℚ]=n(n-1)。
演習問題9
(a)
定理5.1.5において等号が成立して[L:F]=n!となるのは、
定理5.1.5の証明において、[L:F(α1)]=n-1、[F(α1):F]=n
の場合のみである。この第2式と命題4.1.5, 命題4.3.4により、
fはF上既約。
(b)
例えば演習問題6が反例。
他に例5.1.3で、4.3節演習問題2(a)により[ℚ(i,∜2):ℚ]=8<4!。
演習問題10
f∈F[x]⊂K[x]だから、LはK[x]の元としてのfのK上の分解体である。
演習問題11
(a)
fの根をα1,..., αn∈Lとし、拡大F⊂F(α1)⊂Lを考える。
fはF上既約だから命題4.1.5・命題4.3.4により、[F(α1):F]=n。
定理5.1.5によりF⊂Lは有限次拡大だから、定理4.3.8(塔定理)により、
[L:F]=[L:F(α1)][F(α1):F]=n[L:F(α1)]なのでn|[L:F]。
(b)
(a)により、1根だけを添加したF(α1)が分解体となるとき、
[L:F(α1)]=1だから[L:F] =n。
例えば例4.3.6と演習問題5において[ℚ(√2+√3):ℚ]=4=deg(f)。
4.3節演習問題2(b)において[ℚ(√(2+√2)):ℚ]=4=deg(f)。
演習問題7において[F3(α):F3]=3=deg(f)。
演習問題12
[L1:F1]=n<[L2:F2]=mと仮定する。
L1をF1上の、L2をF2上のそれぞれベクトル空間とみて、
L1,L2の基底をそれぞれλ1,..., λn、μ1,..., μmとする。
任意のα∈L1に対しa1,...,an∈F1が一意に存在して
α=a1λ1+...+anλn、同様に任意のβ∈L2に対しb1,...,bm∈F2が一意に存在して
β=b1μ1+...+bmμmである。
同型φ: L1≃L2に対して任意のα∈L1をとり、
φ(α)=β, φ(λi)=li1μ1+...+ limμm(1≤i≤n)とすれば、
φ(a1),...,φ(an)の満たす方程式系
φ(a1)l11+...+φ(an)ln1=b1
...
φ(am)l1m+...+φ(am)lnm=bm
を得るが、n<mだから、この方程式系が任意のαについて
解φ(a1),...,φ(an)をもつには、全てのlij=0, bj=0 (1≤j≤m)でなければならない。
したがって0≠λi∈Ker(φ)となるからφが同型であることに反する。
n>mの場合も同様に矛盾が導かれるので、[L1:F1]=[L2:F2]。
練習問題13
(4.5)式によりL=ℚ(√2,√3)=ℚ(√2+√3)で、
演習問題5によりLはℚ 上既約なf=x4-10x2+1の分解体である。
fの根は√2+√3,√2-√3,-√2-√3,-√2+√3なので、
α=√2+√3, β=√2-√3とすると、命題5.1.8により、
ℚ 上恒等写像でσ(α)=βとなる体の同型σ: L≃Lが存在する。
β=-1/αだから、σ(β)=σ(-1/α)=-1/β=α。
したがってσ(√2)=σ((α+β)/2)=(β+α)/2=√2、σ(√3)=σ((α-β)/2)=(β-α)/2=-√3。
別解:
(4.5)式によりL=ℚ(√2,√3)=ℚ(√2+√3)で、
演習問題5によりLはf=x4-10x2+1のℚ 上の分解体である。
h=x2-3∈ℚ(√2)[x]はℚ(√2)上に解を持たないので、
補題A.1.19によりℚ(√2)上既約で、根α=√3, β=-√3を持つ。
したがって命題5.1.8によりℚ(√2)上恒等写像であって、
σ(√3)=σ(α)=β=-√3となる体の同型σ: L≃Lが存在する。
具体的な構成としては命題5.1.18の証明に従う。
hはℚ(√2)上のαの最小多項式だから、ℚ(√2)上恒等写像となる環同型
φ1: ℚ(√2,α)→ℚ(√2)[x]/<h> (α→x+<h>)が補題4.1.13によりただ一つ存在する。
同様に環同型φ2: ℚ(√2,β)→ℚ(√2)[x]/<h> (β→x+<h>)がただ一つ存在する。
したがって、σ=φ1∘φ2-1:とすればσ: ℚ(√2,α)≃ℚ(√2,β)は環同型である。
σが体の同型写像であることを確かめる。
(補題4.1.13は環同型しか問題にしていないから、
剰余環を使って体の同型を示すには、別途乗法の逆元を問題にしないといけない)
hは既約なので命題3.1.1によりℚ(√2)[x]/<h>は体だから、
x∈ℚ(√2)[x]/<h>の逆元が存在する。
4.1節演習問題7により、互除法を用いて
ℚ(√2)[x]/<h>におけるxの逆元が計算できる。
g=xとおけば、h=gx-3だから、-h/3+g(x/3)=1なので、
ℚ(√2)[x]/<h>におけるxの逆元はx/3である。
σ(α-1)=φ2-1(x/3)=β/3=-1/√3=β-1となるから、σは確かに体の同型写像となり、
σ: ℚ(√2,α)≃ℚ(√2,β)は体の同型である。
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