2011-06-04

コックス「ガロワ理論」 5.1節の演習問題2

演習問題8
(a)
定理A.2.1によりにおいてfのすべての根はn√2,n√2ζn,..., n√2(ζn)n-1
ζn=n√2ζn/n√2で、n√2ζnの有理式でfの根は全て表現できるから、
(n√2,n√2ζn,..., n√2(ζn)n-1)=(n√2,ζn)なので、f上の分解体は(n√2,ζn)

(b)
f上既約だから、命題4.1.5, 命題4.3.4により、[(n√2):]=n
ζn (n√2)上のn-1次多項式の根だから、
補題4.1.3により[(n√2,ζn):(n√2)]n-1定理4.3.8(塔定理)により
[(n√2,ζn):]=[(n√2,ζn):(n√2)][(n√2):]=[(n√2,ζn):(n√2)]だから、
n|[(n√2,ζn):]かつ[(n√2,ζn):]n(n-1)である。

ζnn次円分多項式Φn[x]の根で、
nは素数なので命題4.2.5によりΦn上既約だから[(ζn):]=n-1
上と同様にn-1|[(n√2,ζn):]である。

n|[(n√2,ζn):]かつ n-1|[(n√2,ζn):]で、gcd(n,n-1)=1 (n)だから、
LCM(n,n-1)=n(n-1)|[(n√2,ζn):]より[(n√2,ζn):]n(n-1)
[(n√2,ζn):]n(n-1)だったから、[(n√2,ζn):]=n(n-1)

演習問題9
(a)
定理5.1.5において等号が成立して[L:F]=n!となるのは、
定理5.1.5の証明において、[L:F(α1)]=n-1[F(α1):F]=n
の場合のみである。この第2式と命題4.1.5, 命題4.3.4により、
fF上既約。

(b)
例えば演習問題6が反例。
他に例5.1.3で、4.3節演習問題2(a)により[(i,2):]=8<4!

演習問題10
fF[x]K[x]だから、LK[x]の元としてのfK上の分解体である。

演習問題11
(a)
fの根をα1,..., αnLとし、拡大FF(α1)Lを考える。
fF上既約だから命題4.1.5・命題4.3.4により、[F(α1):F]=n
定理5.1.5によりFLは有限次拡大だから、定理4.3.8(塔定理)により、
[L:F]=[L:F(α1)][F(α1):F]=n[L:F(α1)]なのでn|[L:F]

(b)
(a)により、1根だけを添加したF(α1)が分解体となるとき、
[L:F(α1)]=1だから[L:F] =n

例えば例4.3.6と演習問題5において[(√2+√3):]=4=deg(f)
4.3節演習問題2(b)において[(√(2+√2)):]=4=deg(f)
演習問題7において[F3(α):F3]=3=deg(f)

演習問題12
[L1:F1]=n<[L2:F2]=mと仮定する。
L1F1上の、L2F2上のそれぞれベクトル空間とみて、
L1,L2の基底をそれぞれλ1,..., λnμ1,..., μmとする。

任意のαL1に対しa1,...,anF1が一意に存在して
α=a1λ1+...+anλn、同様に任意のβL2に対しb1,...,bmF2が一意に存在して
β=b1μ1+...+bmμmである。
同型φ: L1L2に対して任意のαL1をとり、
φ(α)=β, φ(λi)=li1μ1+...+ limμm(1in)とすれば、
φ(a1),...,φ(an)の満たす方程式系
φ(a1)l11+...+φ(an)ln1=b1
...
φ(am)l1m+...+φ(am)lnm=bm
を得るが、n<mだから、この方程式系が任意のαについて
φ(a1),...,φ(an)をもつには、全てのlij=0, bj=0 (1jm)でなければならない。
したがって0λiKer(φ)となるからφが同型であることに反する。

n>mの場合も同様に矛盾が導かれるので、[L1:F1]=[L2:F2]

練習問題13
(4.5)式によりL=(√2,√3)=(√2+√3)で、
演習問題5によりL 上既約なf=x4-10x2+1の分解体である。

fの根は√2+√3,√2-√3,-√2-√3,-√2+√3なので、
α=√2+√3, β=√2-√3とすると、命題5.1.8により、
上恒等写像でσ(α)=βとなる体の同型σ: LLが存在する。
β=-1/αだから、σ(β)=σ(-1/α)=-1/β=α
したがってσ(√2)=σ((α+β)/2)=(β+α)/2=√2σ(√3)=σ((α-β)/2)=(β-α)/2=-√3


別解:
(4.5)式によりL=(√2,√3)=(√2+√3)で、
演習問題5によりLf=x4-10x2+1 上の分解体である。
h=x2-3(√2)[x](√2)上に解を持たないので、
補題A.1.19により(√2)上既約で、根α=√3, β=-√3を持つ。
したがって命題5.1.8により(√2)上恒等写像であって、
σ(√3)=σ(α)=β=-√3となる体の同型σ: LLが存在する。

具体的な構成としては命題5.1.18の証明に従う。
h(√2)上のαの最小多項式だから、(√2)上恒等写像となる環同型
φ1: (√2,α)(√2)[x]/<h> (αx+<h>)が補題4.1.13によりただ一つ存在する。
同様に環同型φ2: (√2,β)(√2)[x]/<h> (βx+<h>)がただ一つ存在する。
したがって、σ=φ1φ2-1:とすればσ: (√2,α)(√2,β)は環同型である。

σが体の同型写像であることを確かめる。

(補題4.1.13は環同型しか問題にしていないから、
剰余環を使って体の同型を示すには、別途乗法の逆元を問題にしないといけない)
hは既約なので命題3.1.1により(√2)[x]/<h>は体だから、
x(√2)[x]/<h>の逆元が存在する。
4.1節演習問題7により、互除法を用いて
(√2)[x]/<h>におけるxの逆元が計算できる。
g=xとおけば、h=gx-3だから、-h/3+g(x/3)=1なので、
(√2)[x]/<h>におけるxの逆元はx/3である。
σ(α-1)=φ2-1(x/3)=β/3=-1/√3=β-1となるから、σは確かに体の同型写像となり、
σ: (√2,α)(√2,β)は体の同型である。

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