2011-06-21

コックス「ガロワ理論」 7.3節の演習問題1

7.3節の演習問題

演習問題1
定理A.1.1Lagrangeの定理)により
|Gal(L/F)|=[Gal(L/F):H]|H|=[Gal(L/F):H][L:LH]
FLGaloisだから、定理7.1.5(c)により|Gal(L/F)|=[L:F]
したがって定理4.3.8(塔定理)により
[Gal(L/F):H]=|Gal(L/F)|/[L:LH]=[L:F]/[L:LH]=[LH:F]

演習問題2
(a)
iの最小多項式はx2+1で根±iを持ち、
2の最小多項式はx4-2で根±2,±i2を持つので、L8次の代数拡大。
f=(x2+1)(x4-2)上分離的で、その分解体はi2,±i2)
fの根はすべてLに含まれるから、i2,±i2)L
逆にi2/2=iだから、i2,±i2)Lなので、
i2,±i2)=LとなりLfの分解体。
したがって定理7.1.1によりLGalois

Gal(L/)x2+1x4-2のそれぞれの根を入れ替える自己同型の合成からなるから、
σ(i)=i, σ(2)=i2かつτ(i)=-i, τ(2)=2となるσ,τGal(L/)が存在する。

(b)
σL上の自己同型だからσ(i)=i, σ(2)=i2より
σ(i2)=σ2(2)=-2, σ(-2)=σ3(2)=-i2, σ(-i2)=σ4(2)=2
となるので、任意のαLについてσ4(α)=α=e(α)だからo(σ)=4
x4-2の根全体はσによって巡回的に移される。
同様にτ(i)=-i, τ(2)=2よりτ(-i)=τ2(i)=iとなりτ2=eだからo(τ)=2
τ i-iだけを交換するから、複素共役のLへの制限である。

(c)
x2+1x4-2F上既約だから、命題6.3.5(b)により、
Gal(L/)x2+1の根全体を可移に入れ替える位数2の可移部分群と、
x4-2の根全体を可移で巡回的に入れ替える位数4の可移部分群だけから生成される。
 (b)στはこのような可移部分群<σ>,<τ>を生成するから、
Gal(L/)στから生成される。

(d)
Gal(L/)は命題6.3.1によりS8の部分群と同型で、
(a)によりLGaloisだから、定理7.1.5により|Gal(L/)|=[L:]=8

ところが(b)によりτは複素共役なので、
x4-2の根のうち互いに複素共軛な2i2, -i2を入れ替える互換でもあるから、
Gal(L/)は実はx4-24根を可移に入れ替えさえすればよい。
すなわちGal(L/)S4の部分群と同型でもある。
S4の位数8の部分群は二面体群D8しかないので、Gal(L/)D8
D8は正方形を巡回的に回転する位数4の巡回置換と、
正方形を裏返す位数2の置換から生成されるので、(c)の性質を満たしている。

演習問題3
(a)
|Gal(L/)|=8だから、定理A.1.1Lagrangeの定理)により、
自明でないGal(L/)の部分群は位数2または4を持つ。
位数2の有限群はC2のみで、位数4の有限群はC4, C2×C2, D4で、
これらは全てS4の部分群。

演習問題2(d)によりGal(L/)x4-24根を入れ替える置換によって生成され、
Gal(L/)D8α1=2, α2=i2, α3=-2, α4=-i2とおけば、
Gal(L/) D8の同型によってσ→(1234),τ→(24)と写像される。
するとσ2=(13)(24), σ3=(1432)、またτσ=σ3τ=(14)(23), στ=τσ3=(12)(34),
σ2τ=τσ2=(13)

これより位数2の部分群はC2と同型な、<τ>,<σ2τ>,<σ2>,<στ>,<σ3τ>である。
位数4の部分群は<σ>C4と、位数2の元2つから生成される群だが、
σの奇数乗×τ×τの形が作れる群になるような元2つの組合せの生成する群は、
単に<σ,τ>=Gal(L/)に等しくなるから、それ以外の組として、
<σ2,τ>=<σ2,σ2τ>=<σ2τ,τ>{e,(13),(24),(13)(24)}=D4,
<σ2,σ3τ>=<σ2,στ>{e,(12)(34),(13)(24),(14)(23)}=D4

包含関係は<σ2,τ>の部分群<τ>,<σ2τ>,<σ2>
<σ2,στ>=<σ2,σ3τ>の部分群が<σ2>,<στ>,<σ3τ><σ>の部分群が<σ2>
以上により(7.13)が説明される。

(b)
(a)によりGal(L/)の各部分群はある置換群と同型。
置換群の作用のもとで不変なx4-2の根の有理式は、
2.2節演習問題7,8により、置換群の作用で不変な、根の基本対称式の有理式である。
したがって根の基本対称式の値とそれら有理式だけで、Galois群に対応する固定体の、
への添加元は尽くされる。
いま(a)と同様にα1=2, α2=i2, α3=-2, α4=-i2とする。
4根全ての対称式については、全ての根はx4-2の根なので系2.1.5により
α1+α2+α3+α4=α1α2+α1α3+α1α4+α2α3+α2α4+α3α4=α1α2α3+α1α2α4+α1α3α4+α2α3α4=0,
α1α2α3α4=-2

<τ>{e,(24)}より<τ>の作用に対し不変なのは、α1=2, α3=-2と、
α2α4の互換で不変な基本対称式α2+α4=0α2α4=√2=α12だからL<τ>=(2)

<σ2τ>{e,(13)}より<σ2τ>の作用に対し不変なのは、α2=i2, α4=-i2と、
α1α3の互換で不変な基本対称式α1+α3=0α1α3=-√2=α22だからL<σ2τ>=(i2)

<σ2>{e,(13)(24)}で、(13)(24)は根の符号を全て変える自己同型だから、
<σ2>の作用に対し不変な基本対称式は、2要素のα1+α3=α2+α4=0,
α1α3=-2,α2α4=2α1α2=α3α4=i2, α1α4=α2α3=-i2となりL<σ2>=(i,2)

<στ>{e,(12)(34)} より<στ>の作用に対し不変な基本対称式は
α1+α2=-(α3+α4)=(1+i)2, α1α2=α3α4=i2=(α1+α2)2/2だからL<στ>=((1+i)2)

<σ3τ>{e,(14)(23)} より<σ3τ>の作用に対し不変な基本対称式は
α1+α4=-(α2+α3)=(1-i)2, α1α4=α2α3=-i2=(α1+α4)2/2だからL<σ3τ>=((1-i)2)

<σ2,τ>{e,(13),(24),(13)(24)}=C2×C2より<σ2,τ>は複素共役をとる自己同型τと、
根の符号を変える自己同型σ2の合成。
σ2で不変な基本対称式のうち、α1α3=-2,α2α4=2だけが
τの作用で不変なので、L<σ2,τ>=(2)

<σ2,στ>{e,(12)(34),(13)(24),(14)(23)}=D4より、
L<σ2,στ>=(i,2)((1+i)2)((1-i)2)=(i2)

<σ>C4なので<σ>は根を巡回的に入れ替える自己同型からなる。
σ2で不変な基本対称式のうち、2要素のα1+α3=α2+α4=0,
α1α3=-2,α2α4=2α1α2=α3α4=i2, α1α4=α2α3=-i2となり
対称式の有理式のα2/α1=α3/α2=α4/α3=α1/α4=iだけが不変だからL<σ>=(i)

以上により(7.14)を得る。

・・・のだが、固定群の同定はその都度やってる感じで、
答えを知らないと分からん固定体もある・・・特に対称式の有理式をどうするのか。
F上のベクトル空間としてみて、とかやってみたが、
うまういかないのもある。もっと統一的で精密にできないものか。

(c)
Gal(L/)の群演算で(a)によりσ2τ=τσ2, σ3τ=τσ, στ=τσ3を用いることができる。
σ2はすべてのgGal(L/)と可換なので2g-1=σ2 (1)、またσ2g(σ2)-1=g (2)

<σ>={e,σ,σ2,σ3}C4へのGal(L/)の作用は、(1), (2)および、
明らかに可換なσσ3同士以外については、
τστ-1=στσ(στ)-1=σ2τσ(σ2τ)-1=σ3τσ(σ3τ)-1=σ3<σ>,
τσ3τ-1=στσ3(στ)-1=σ2τσ3(σ2τ)-1=σ3τσ3(σ3τ)-1=σ<σ>により、
全てのgGal(L/)についてg<σ>g-1<σ>なので、<σ>Gal(L/)の正規部分群。
(b)により<σ>の固定体L<σ>=(i)で、例えばx2+1の分解体。

<σ2,τ>={e,σ2,τ,σ2τ}C2×C2へのGal(L/)の作用は、(1),(2)および、
στσ-1=σ3τ(σ3)-1=σττ(στ)-1=σ3ττ(σ3τ)-1=σ2τ<σ2,τ>, σ2ττ(σ2τ)-1=τ<σ2,τ>,
σ(σ2τ)σ-1=σ3(σ2τ)(σ3)-1=στ(σ2τ)(στ)-1=σ3τ(σ2τ)(σ3τ)-1=τ<σ2,τ>, τ(σ2τ)τ-1=σ2τ<σ2,τ>から、
全てのgGal(L/)についてg<σ>g-1<σ>なので、<σ2,τ>Gal(L/)の正規部分群。
(b)により<σ2,τ>の固定体L<σ2,τ>=(2)で、例えばx2-2の分解体。

<σ2,στ>={e,σ2,στ,σ3τ}D4へのGal(L/)の作用は、(1),(2)および、
τ(στ)τ-1=σ(στ)(σ)-1=σ3(στ)(σ3)-1=σ3τ<σ2,στ>,
στ(στ)(στ)-1=σ3τ(στ)(σ3τ)-1=στ<σ2,στ>,
τ(σ3τ)τ-1=σ(σ3τ)(σ)-1=σ3(σ3τ)(σ3)-1=στ<σ2,στ>,
σ3τ(σ3τ)(σ3τ)-1=στ(σ3τ)(στ)-1=σ3τ<σ2,στ>により、
全てのgGal(L/)についてg<σ2,στ>g-1<σ2,στ>なので、
<σ2,στ>Gal(L/)の正規部分群。
(b)により<σ2,στ>の固定体L<σ>=(i2)で、例えばx2+2の分解体。

<σ2>(1), (2)によりGal(L/)の正規部分群。
(b)により<σ2>の固定体L<σ2>=(i,2)で、例えば(x2+1)(x2-2)の分解体。

<τ>へのGal(L/)の作用において、
στσ-1=σ3τ(σ3)-1=σττ(στ)-1=σ3ττ(σ3τ)-1=σ2τ<τ>だから、
<τ>Gal(L/)の正規部分群でない。

<στ>へのGal(L/)の作用において、
τ(στ)τ-1=σ(στ)(σ)-1=σ3(στ)(σ3)-1=σ3τ<στ>だから、
<στ>Gal(L/)の正規部分群でない。

<σ2τ>へのGal(L/)の作用において、
σ(σ2τ)σ-1=σ3(σ2τ)(σ3)-1=στ(σ2τ)(στ)-1=σ3τ(σ2τ)(σ3τ)-1=τ<σ2τ>だから、
<σ2τ>Gal(L/)の正規部分群でない。

<σ3τ>へのGal(L/)の作用において、
τ(σ3τ)τ-1=σ(σ3τ)(σ)-1=σ3(σ3τ)(σ3)-1=στ<σ3τ>だから、
<σ3τ>Gal(L/)の正規部分群でない。

(d)
(c)での計算により、NGal(L/)(<τ>)=<σ2,τ>で、|NGal(L/)(<τ>)|=4より、
7.2節演習問題9から[Gal(L/):NGal(L/)(<τ>)]=|Gal(L/)||NGal(L/)(<τ>)|=2
なので、<τ>の共軛体の数は2個だから、<τ>自身ともう一つ。
στσ-1=σ3τ(σ3)-1=σττ(στ)-1=σ3ττ(σ3τ)-1=σ2τだから、
<τ>の共軛は補題7.2.4により<σ2τ>だけである。
したがって共軛体は(7.14)によりL<τ>=(2)L<σ2τ>=(i2)

同じくNGal(L/)(<στ>)=<σ2,στ>
[Gal(L/):NGal(L/)(<στ>)]=|Gal(L/)||NGal(L/)(<στ>)|=2
なので、<στ>の共軛体の数は2個だから、<στ>自身ともう一つ。
τ(στ)τ-1=σ(στ)(σ)-1=σ3(στ)(σ3)-1=σ3τだから、
<στ>の共軛は補題7.2.4により<σ3τ>だけである。
したがって共軛体は(7.14)によりL<στ>=((1+i)2)L<σ3τ>=((1-i)2)

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