演習問題8
X={α1=α,α2,..., αr}とすれば、h(x)の定義によりX=Gal(L/F)·αで、
Gal(L/F)のXへの作用は可移である。
Gal(L/F)の部分群H={τ∈Gal(L/F)| τ(α)=α}とすると、Hはαの固定部分群だから、
定理A.4.9によりGal(L/F)におけるHの左剰余類について、
[Gal(L/F):H]=|Gal(L/F)·α|=rとなり、
定理A.1.1(Lagrangeの定理)により、|Gal(L/F)|=r|H|。
左剰余類は、σ(α)=αj (1≤j≤r)となる等しい濃度|H|を持つ、
r=|Gal(L/F)|/|H|個の類に類別される。
したがって∏σ∈Gal(L/F) (x-σ(α))において因子x-σ(α)は、
各αjについて、|H|回現れるから、∏σ∈Gal(L/F) (x-σ(α))=∏1≤j≤r (x-αj)|H|=h|H|。
演習問題9
(a)
ℚ(√2,∛2)⊂ℝだが、∛2のℚ上の最小多項式x3-2は、
他の2根ω∛2, ω2∛2∉ℝをもつので、ℚ(√2,∛2)上でx3-2は完全分解しないから、
ℚ⊂ℚ(√2,∛2)は正規でない。
したがって定理7.1.1(c)によりℚ⊂ℚ(√2,∛2)はGalois拡大でない。
(b)
f=x3+x2+2x+1∈ℚ[x]として、fの簡約3次方程式はy3+5y/3+11/27=0。
y1の係数が正だから1.3節演習問題2によりΔ<0となり、
fの根は全て異なるのでfはℚ上の分離多項式。
3つ目の根をγとすれば系2.1.5によりγ=-1-α-β∈ℚ(α,β)だから、
ℚ(α,β,γ)=ℚ(α,β)なので、ℚ(α,β)はfの分解体である。
したがって定理7.1.1(a)により、ℚ⊂ℚ(α,β)はGalois拡大。
(c)
xp-tp∈Fp(tp)[x]はFp(tp)に根を持たないから命題4.2.6によりFp(tp)上既約で、
tは根だから命題4.1.5によりtのFp(tp)上の最小多項式。
補題5.3.10によりFp(t)上でxp-tp=(x-t)pと完全分解するから、
Fp(t)はxp-tpのFp(tp)上の分解体だが、t∈Fp(t)は分離的でないので、
Fp(tp)⊂Fp(t)は分離拡大でない。
したがって定理7.1.1(c)によりFp(tp)⊂Fp(t)はGalois拡大でない。
あるいは、xp-tp=(x-t)pの根はtだけだからGal(Fp(t)/Fp(tp))={e}なので、
|Gal(Fp(t)/Fp(tp))|=1≠p=deg(xp-tp)=[Fp(t):Fp(tp)]だから、
定理7.1.5(c)によりFp(tp)⊂Fp(t)はGalois拡大でない。
(d)
u=t+t-1とすると、t2-ut+1=0だから、tはf=x2-ux+1∈ℂ(u)[x]の根で、
fはℂ(u)に根を持たないから、補題A.1.19によりℂ(u)上既約。
fのもう一つの根は1/t∈ℂ(t)なので、ℂ(t)はfのℂ(u)上の分解体。
Gal(ℂ(t)/ℂ(u))は、単位元およびfの2根の互換からなる、
巡回群C2=S2に同型だから、|Gal(ℂ(t)/ℂ(u))|=2=deg(f)=[ℂ(t):ℂ(u)]となるので、
定理7.1.5(c)によりℂ(u)⊂ℂ(t)はGalois拡大。
(e)
f=xn-tn∈ℂ(tn)[x]はℂ(tn)に根を持たないから命題4.2.6によりℂ(tn)上既約で、
tは根だから命題4.1.5によりtのℂ(tn)上の最小多項式。
ℂ(t)において、1の原始n乗根をζn∈ℂ(tn)として、
xn-tn=(x-t)(x-tζn)(x-tζn2)...(x-tζnn-1)と完全分解するから、
fはℂ(tn)[x]の分離多項式で、ℂ(t)はfのℂ(tn)上の分解体である。
したがって定理7.1.1(a)によりℂ(tn)⊂ℂ(t)はGalois拡大。
演習問題10
∛2のℚ上の最小多項式はx3-2で、
Schönemann-Eisenstein判定法(定理4.2.3)において、
p=2とおくことにより既約だから、ℚ⊂ℚ(∛2)は有限次拡大となり、
補題4.4.2により代数拡大、したがって命題5.3.7により分離拡大。
5.1節演習問題1によりℚ(ω,∛2)はx3-2の分解体で、
x3-2の根は∛2, ω∛2, ω2∛2だから、x3-2はℚ上分離的である。
したがって定理7.1.1(a)によりℚ⊂ℚ(ω,∛2)はGalois拡大で、
命題7.1.7の証明の構成によりℚ(ω,∛2)はℚ(∛2)のℚ上のGalois閉包。
演習問題11
命題7.1.7の証明の構成を行う。∜2のℚ上の最小多項式はx4-2で、
Schönemann-Eisenstein判定法(定理4.2.3)において、
p=2とおくことにより既約だから、ℚ⊂ℚ(∜2)は有限次拡大となり、
補題4.4.2により代数拡大、したがって命題5.3.7により分離拡大。
x4-2の根は±∜2, ±i∜2で、ℚ(±∜2,±i∜2)=ℚ(∜2,i)はx4-2の分解体だから、
命題7.1.7の証明の構成によりℚ(∜2,i)はℚ⊂ℚ(∜2)のGalois閉包。
演習問題12
(a)
F⊂Lは2次拡大なので、定義4.3.1・定理4.4.3により、
L=F(α,β)となるF上代数的なLの基底α,β∈Lが存在し、
補題4.4.2によりα,βの最小多項式の次数は高々2次。
さらに命題4.3.4により、F上の2次既約多項式の一つをf∈F[x]として、
fの根の一つをαにとれば、β=1∈Fとできるので、L=F(α)。
(b)
Fの標数が0なら命題5.3.7(a)によりfは分離的。
Fの標数がpなら、pは素数でp≠2だから、
p∤2=deg(f)なので、補題5.3.5(b)によりfは分離的。
(c)
(b)によりfは分離的で、Lはfの分解体だから、
定理7.1.1によりF⊂LはGalois拡大。
Gal(L/F)は単位元およびfの2根の互換からなるので巡回群C2≃ℤ/2ℤ。
(d)
αの最小多項式f =x2+bx+cとして、
f=(x+b/2)2-(b2-4c)/4からβ=α+b/2, a=(b2-4c)/4∈Fとおけば、
α=β-b/2∈F(β)よりF(α)=F(β)。またβはx2-aの根となるからβ2∈F。
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