2011-06-16

コックス「ガロワ理論」 7.1節の演習問題2


演習問題8
X={α1=α,α2,..., αr}とすれば、h(x)の定義によりX=Gal(L/F)·αで、
Gal(L/F)Xへの作用は可移である。

Gal(L/F)の部分群H={τGal(L/F)| τ(α)=α}とすると、Hαの固定部分群だから、
定理A.4.9によりGal(L/F)におけるHの左剰余類について、
[Gal(L/F):H]=|Gal(L/F)·α|=rとなり、
定理A.1.1Lagrangeの定理)により、|Gal(L/F)|=r|H|
左剰余類は、σ(α)=αj (1jr)となる等しい濃度|H|を持つ、
r=|Gal(L/F)|/|H|個の類に類別される。

したがってσGal(L/F) (x-σ(α))において因子x-σ(α)は、
αjについて、|H|回現れるから、σGal(L/F) (x-σ(α))=1jr (x-αj)|H|=h|H|

演習問題9
(a)

(2,2)だが、2上の最小多項式x3-2は、
他の2ω2, ω22をもつので、(2,2)上でx3-2は完全分解しないから、
(2,2)は正規でない。
したがって定理7.1.1(c)により(2,2)Galois拡大でない。

(b)
f=x3+x2+2x+1[x]として、fの簡約3次方程式はy3+5y/3+11/27=0
y1の係数が正だから1.3節演習問題2によりΔ<0となり、
fの根は全て異なるのでf上の分離多項式。
3つ目の根をγとすれば系2.1.5によりγ=-1-α-β(α,β)だから、
(α,β,γ)=(α,β)なので、(α,β)fの分解体である。
したがって定理7.1.1(a)により、(α,β)Galois拡大。

(c)
xp-tpFp(tp)[x]Fp(tp)に根を持たないから命題4.2.6によりFp(tp)上既約で、
tは根だから命題4.1.5によりtFp(tp)上の最小多項式。
補題5.3.10によりFp(t)上でxp-tp=(x-t)pと完全分解するから、
Fp(t)xp-tpFp(tp)上の分解体だが、tFp(t)は分離的でないので、
Fp(tp)Fp(t)は分離拡大でない。
したがって定理7.1.1(c)によりFp(tp)Fp(t)Galois拡大でない。

あるいは、xp-tp=(x-t)pの根はtだけだからGal(Fp(t)/Fp(tp))={e}なので、
|Gal(Fp(t)/Fp(tp))|=1≠p=deg(xp-tp)=[Fp(t):Fp(tp)]だから、
定理7.1.5(c)によりFp(tp)Fp(t)Galois拡大でない。

(d)
u=t+t-1とすると、t2-ut+1=0だから、tf=x2-ux+1(u)[x]の根で、
f(u)に根を持たないから、補題A.1.19により(u)上既約。
fのもう一つの根は1/t(t)なので、(t)f(u)上の分解体。
Gal((t)/(u))は、単位元およびf2根の互換からなる、
巡回群C2=S2に同型だから、|Gal((t)/(u))|=2=deg(f)=[(t):(u)]となるので、
定理7.1.5(c)により(u)(t)Galois拡大。

(e)
f=xn-tn(tn)[x](tn)に根を持たないから命題4.2.6により(tn)上既約で、
tは根だから命題4.1.5によりt(tn)上の最小多項式。
(t)において、1の原始n乗根をζn(tn)として、
xn-tn=(x-t)(x-n)(x-n2)...(x-nn-1)と完全分解するから、
f(tn)[x]の分離多項式で、(t)f(tn)上の分解体である。
したがって定理7.1.1(a)により(tn)(t)Galois拡大。

演習問題10
2上の最小多項式はx3-2で、
Schönemann-Eisenstein判定法(定理4.2.3)において、
p=2とおくことにより既約だから、ℚ(2)は有限次拡大となり、
補題4.4.2により代数拡大、したがって命題5.3.7により分離拡大。

5.1節演習問題1により(ω,2)x3-2の分解体で、
x3-2の根は2, ω2, ω22だから、x3-2上分離的である。
したがって定理7.1.1(a)により(ω,2)Galois拡大で、
命題7.1.7の証明の構成により(ω,2)(2)上のGalois閉包。

演習問題11
命題7.1.7の証明の構成を行う。2上の最小多項式はx4-2で、
Schönemann-Eisenstein判定法(定理4.2.3)において、
p=2とおくことにより既約だから、ℚ(2)は有限次拡大となり、
補題4.4.2により代数拡大、したがって命題5.3.7により分離拡大。
x4-2の根は±2, ±i2で、ℚ(±2,±i2)=ℚ(2,i)x4-2の分解体だから、
命題7.1.7の証明の構成によりℚ(2,i)ℚ(2)Galois閉包。

演習問題12
(a)
FL2次拡大なので、定義4.3.1・定理4.4.3により、
L=F(α,β)となるF上代数的なLの基底α,βLが存在し、
補題4.4.2によりα,βの最小多項式の次数は高々2次。
さらに命題4.3.4により、F上の2次既約多項式の一つをfF[x]として、
fの根の一つをαにとれば、β=1Fとできるので、L=F(α)

(b)
Fの標数が0なら命題5.3.7(a)によりfは分離的。
Fの標数がpなら、pは素数でp≠2だから、
p2=deg(f)なので、補題5.3.5(b)によりfは分離的。

(c)
(b)によりfは分離的で、Lfの分解体だから、
定理7.1.1によりFLGalois拡大。
Gal(L/F)は単位元およびf2根の互換からなるので巡回群C2/2

(d)
αの最小多項式f =x2+bx+cとして、
f=(x+b/2)2-(b2-4c)/4からβ=α+b/2, a=(b2-4c)/4Fとおけば、
α=β-b/2F(β)よりF(α)=F(β)。またβx2-aの根となるからβ2F

0 件のコメント :

コメントを投稿