演習問題1
L=F(α)ならp85の定義により、任意のαi∈Lに対し、
有理関数ai∈F(x)が存在して、αi=ai(α)だから、ai=θiとおけばよい。
逆にαi=θi(α)となるθiが存在したとすると、
fの分解体L=F(α1,α2,...,αn)において任意のαi∈Lに対し、
αi∈F(α)だから、L⊂F(α)。F(α)⊂LなのでL=F(α)。
α1=α,α2,...,αnはF上代数的だから、命題4.1.5によりF(α)=F[α]なので、
θiは多項式としてよい(具体的な計算は面倒になるだろうが)。
演習問題2
θ1(x)=xについては明らかにθ1(θi(x))=θi(θ1(x)) (1≤i≤4)。
あとは直接計算により
θ2(θ3(x))=θ3(θ2(x))=-10x+x3(=θ4(x)),
θ2(θ4(x))=θ4(θ2(x))=10x-x3(=θ3(x)),
θ3(θ4(x))=θ4(θ3(x))=-(10x-x3)[10-(10x-x3)2]
となるからAbel方程式。
演習問題3
(i) αがfの根なら命題6.1.4により任意のσ,τ∈Gal(L/F)に対し
σ(α),τ(α)もfの根だから、あるi,j (1≤i,j≤n)が存在して
σ(α)=αi=θi(α), τ(α)=αj=θj(α)。
σ,τ∈は自己同型だから、1≤k≤nとして
σ(αk)=σ(θk(α))=θk(σ(α))=θk(θi(α)), τ(αk)=τ(θk(α))=θk(τ(α))=θk(θj(α))である。
(ii)もしGal(L/F)がAbel群なら、任意のσ,τ∈Gal(L/F)に対し、Lにおいて
σ(τ(α))=στ(α)=τσ(α)=τ(σ(α))。
また任意のσ,τ∈Gal(L/F)に対しLにおいてσ(τ(α))=τ(σ(α))なら、
στ(α)=σ(τ(α))=τ(σ(α))=τσ(α)だから定義によりGal(L/F)はAbel群。
(iii) (i)により στ(α)=σ(τ(α))=σ(αj)=θj(θi(α))で、fはAbel方程式だから、
στ(α)=θj(θi(α))=θi(θj(α))=τ(αi)=τσ(α)。
故に(ii)によりGal(L/F)はAbel群だから、定理6.5.3が従う。
演習問題4
xn-1∈ℚ[x]の全ての根はζni (0≤i≤n-1)と有理的に表現できるから、
α=ζnとしてxn-1の分解体L=ℚ(α)、さらにζnn=1よりθi(α)=α[i]n。
θj(θi(α))=θi(θj(α))=α[i+j]nなのでxn-1はℚ上のAbel方程式となる。
演習問題5
α=√(2+√2)とすると、5.1節演習問題6によりfの根は±α,±(α2-2)/α。
これよりθ1(x)=x, θ2(x)=-x, θ3(x)=(x2-2)/x, θ4(x)=-(x2-2)/xとして、
明らかにθ1(θi(x))=θi(θ1(x)) (1≤i≤4)。
θ2(θ3(x))=θ4(x)=θ3(θ2(x)), θ2(θ4(x))=θ3(x)=θ4(θ2(x)),
θ3(θ4(x))=θ4(θ3(x))=-[(x2-2)2-2x2]/[x(x2-2)]となりfはAbel方程式。
これは次の演習問題6の例になっている。
演習問題6
(a)
F ⊂Lは正規かつ有限次拡大だから、定理5.2.4により、
Lはある多項式f∈F[x]の分解体なので、
fの根をα1,...,αdeg(f)とすればL=F(α1,...,αdeg(f))。
F ⊂Lは分離拡大だから、定義5.3.3により各αiは分離的なので、
定理5.4.1(原始元の定理)により原始元αが存在して、
L=F(α)かつαは分離的。
(b)
fはαの最小多項式だから、αを根の一つに持つので、
(a)においてα1=αとする。
L=F(α)だから、Lの任意の元はαのF係数有理式で表現されるので、
各αiに対し有理式θi∈F(x)が存在してαi=θi(α)。
あとは演習問題3とほぼ同様で、命題6.1.4により任意のσ,τ∈Gal(L/F)に対し
σ(α),τ(α)もfの根だから、あるi,j (1≤i,j≤n)が存在して
σ(α)=αi=θi(α), τ(α)=αj=θj(α)。
σ,τ∈は自己同型だから、1≤k≤deg(f)として
σ(αk)=σ(θk(α))=θk(σ(α))=θk(θi(α)), τ(αk)=τ(θk(α))=θk(τ(α))=θk(θj(α))である。
Gal(L/F)はAbel群だから、任意のσ,τ∈Gal(L/F)に対し、Lにおいて
θj(θi(α))=σ(τ(α))=στ(α)=τσ(α)=τ(σ(α))=θi(θj(α))となるので、fはF上のAbel方程式。
演習問題7
定理6.5.5(a)が成り立つとする。
すなわちℚ⊂Lは有限次正規拡大で、正規なので代数拡大。
ℚは標数0でだから、命題5.3.7(b)により分離拡大となる。
すると演習問題6によりℚ⊂Lの原始元が存在して、
原始元の最小多項式f=0はℚ上のAbel方程式となる。
したがってKronecker-Weberの定理と定理6.5.5(b)の主張は同値。
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