演習問題1
(5.18)式は異なるjのγj同士の入れ替えに対し対称である。
そこで補助多項式S(x)=∏j f(x-λxj) ∈F[x1,..., xm]を考えると、
S(x)も異なるjのxj同士の入れ替えに対し対称なので、F[x1,..., xm]の対称多項式。
したがって、積を展開してS(x)=∑k pk(x1,..., xm)xk(pk∈F[x1,..., xm])と書くことができ、
各pkは対称多項式となる。
求値写像F[x1,..., xm]→F[γ1,...,γm] (xj→γj)は定理2.1.2により環準同型で、
この写像によりS(x)はs(x)に写像されるので、s(x)=∑k pk(γ1,...,γm)xk。
γ1,...,γmはFを拡大したfgの分解体でのg(x)=F[x]の根だから、
系2.2.5により全てのkに対してpk(γ1,...,γm)∈Fとなり、s(x)∈F[x]となる。
演習問題2
(a)
F⊂Lは有限次拡大だから、[L:F]=mとしてL上の基底α1=1,α2,...,αmが存在して
任意のα∈Lについてα=∑i aiαi (ai∈F)。Fは有限体だから、
可能なa1,...,amの組合わせは有限通りしかないので、
異なるαは有限個しかないから、Lは有限体。
(b)
α∈L*は有限巡回群としてのL*の生成元だから、
任意のβ∈L*についてn∈ℕ∪{0}, n<|L*|=|L|-1が存在してβ=αn∈F(α)。
したがってL*⊂F(α)。
{0}⊂F(α)だからL=L*∪{0}⊂F(α)。F(α)⊂Lは明らかだから、L=F(α)。
(c)
L*は巡回群で|L*|=|L|-1=m だから、L*≃ℤ/mℤで、
L*はm個の異なる元1,α,...,αm-1を持ち、任意のβ∈L*について、βm=1。
したがって、m個のβ∈L*⊂Lはm次多項式xm-1∈F[x]の根なので、
xm-1はL上完全分解してxm-1=(x-1)(x-α)...(x-αm-1)となる。
(d)
(c)によりLは分離多項式xm-1の分解体だから、
定理5.3.15(b)によりαはF上分離的。
したがって定理5.4.1が従う。
演習問題3
定理5.4.1の証明においてλが満たさなければならないのは、
(5.16)式だけなので、これがF(α1,...,αn)において、
全てのt1,...,tnについて成り立てばよい。
t1=1∈ℤとおく。F(α1,α2)においてα1,α2のF上の最小多項式をそれぞれf,gとし、
fgの分解体における根を定理5.4.1と同様にα1=β1,β2,..., βdeg(f)および
α2=γ1,γ2,...,γmとする。Fは標数0なので命題4.1.5・定理5.3.7により、
fとgは分離的だから、β1,..., βdeg(f)は相異なり、γ1,...,γmも相異なる。
Δβ=max(|βr-βi|)≠0 (1≤i<r≤def(f)), Δγ=min(|γs-γj|)≠0 (1≤j<s≤def(g))とし、
|Δβ|/|Δγ|<t2なるt2∈ℤをとると、全ての(r,s)≠(i,j)の組に対し
|(βi-t2γj)-(βr-t2γs)|=|t2(γs-γj)-(βr-βi)|≥t2|γs-γj|-|βr-βi|≥t2Δγ-Δβ>0。
したがってλ=t2として(5.16)が満たされ、
したがってα12=α1+t2α2はF(α1,α2)の原始元だからF(α1,α2)=F(α12)。
F(α1,α2,α3)=F(α1,α2)(α3)=F(α12)(α3)=F(α12,α3)において、
上の操作を繰り返してt3∈ℤを定め、F(α1,α2,α3)= F(α13), α13=α1+t2α2+t3α3を得る。
以下同様に繰り返してα=α1n=α1+t2α2+...+tnαn (t1=1, t2,..., tn∈ℤ)の形の原始元が得られ、
F(α1,...,αn)=F(α)。
演習問題4
(a)
g=xp-sはFに根を持たず、またpは素数だから命題4.2.6によりgはF上既約。
例5.3.11によりF(α)においてgは(x-α)pと完全分解するので、
F(α)はgのF上の分解体で、[F(α): F]=p。
h=xp-uはF(α)に根を持たないから、同様にすればL=F(α,β)はF(α)上のhの分解体だから、
F上のghの分解体でもある。L上でhは(x-β)pと完全分解して[L:F(α)]=p。
定理4.3.8(塔定理)から[L:F]=p2。
(b)
例5.4.4においてs(t,u)=∑i,j aijtiuj∈Fとすると、、
γはF上の最小多項式f=xp-s(t,u)の根なので、[F(γ):F]=p。
(c)
(b)により、任意のγ∈L∖Fの最小多項式はL上で(x-γ)pと完全分解するから、
γはF上分離的でない。したがってF⊂Lは純非分離拡大。
演習問題5
(a)
F(α+λβ)=F(α+μβ)となるμ≠λが存在したと仮定すると、
演習問題4(b)により、1,α+λβ,(α+λβ)2,...,(α+λβ)p-1は F(α+λβ)の基底だから、
α+μβ=a0+a1(α+λβ)+...+ap-1(α+λβ)p-1となるa0,a1,...,ap-1∈Fが存在する。
α+μβ-(α+λβ)=(μ-λ)β=a0+(a1-1)(α+λβ)+...+ap-1(α+λβ)p-1
より、β=(μ-λ)-1[a0+(a1-1)(α+λβ)+...+ap-1(α+λβ)p-1]∈F(α+λβ)。
さらにα=(α+λβ)-λβ∈F(α+λβ)。
(b)
(a)よりF(α,β)⊂F(α+λβ)。F(α+λβ)⊂F(α,β)だからF(α+λβ)=F(α,β)。
演習問題4(b)により[F(α+λβ):F]=pだが、
演習問題4(a)により[F(α,β):F]=[F(α+λβ):F]=p2となり矛盾。
したがってF(α+λβ)=F(α+μβ)となるμ≠λは存在しない。
演習問題6
定理5.4.1の証明のn=2についての部分で、gの分離性は使っていいるが、
fの分離性は使っていない。
fが分離的でなくても(5.16)は満たされ、n=2について定理は正しい。
要求されているのは[L:F]が有限次拡大であることだが、
βが代数的なら命題4.3.4により満たされる。
演習問題7
F(α1,...,αn)=F(α1,...,αn-1)(αn)において、
F⊂F(α1,...,αn-1)は有限次拡大で各α1,...,αn-1は分離的だから、
定理5.4.1によりあるF上分離的なαが存在してF(α1,...,αn-1)=F(α)。
F(α1,...,αn)=F(α)(αn)=F(α,αn)において、F⊂F(α,αn)は有限次拡大なので、
命題4.3.4によりαnはF上代数的。αはF上分離的だから、
演習問題6によりF⊂F(α,αn)=F(α1,...,αn)は原始元をもつ。
演習問題8
Lにおけるx2-tとx3-uの根をそれぞれα, βとする。
5.3節演習問題8によりαは分離的でβは非分離的。
Lにおいてx2-tは(x-α)(x-2α)と完全分解する。
またβはF上代数的で、例5.3.11と演習問題4(a)により、
Lにおいてx3-uは(x-β)3と完全分解する。
(5.17)式のλ∈Fはこの場合α+λβ≠2α+λβであればよい。
α≠0だから、すべてのλ∈Fについて(5.17)は満たされる。
したがってα+λβが原始元で、(α+λβ)3=tα+λ3uより、
α=[(α+λβ)3-λ3u]/tなのでα∈F(α+λβ)。これよりβ∈F(α+λβ)だから、
F(α,β)⊂F(α+λβ)となりF(α,β)=F(α+λβ)。
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